第2回 JAM様 ストーリー2「日本で、海外で、刷りまっか」

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第2回 JAM様 山川正則社長

前話はこちら


ストーリー2「日本で、海外で、刷りまっか」

モトヤ→ビジネスについてお聞きします。売上の割合で多いのはどういったものになりますか。

山川社長→ネットで受注するものが90%くらいですね。部門別には半分ずつです。レトロ印刷部門は印刷受注を行っています。フライヤーやショップカード、あとは個人のクリエイターさんが作られる紙雑貨、カレンダー、年賀状、ZINE、同人誌など商業用のものが多くなってきましたね。

リソグラフの色数なら多分うちは世界で一二を争うくらい多く、32色から選んでもらえるので、お客さんに印刷で遊んでもらっています。

もう一方のシルクスクリーン部門の方は物、ものづくりをするための道具や素材を販売しています。シルクスクリーンの製版やインク、素材のトートバックやTシャツなどが中心です。

モトヤ→「SURIMACCA」って関西弁で「刷りまっか」ですか?

山川社長→名前を付けましょうってなったときにせっかくなんで何か考えようと。いろいろ考えたんですけど大阪の会社なので「儲かりまっか!」から「刷りまっか」になり、「SURIMACCA」になりちょっとした北欧感も気に入ってそうなりました。

スリマッカ


その後も東京の作業場に名前を付けるのも「刷るとこ」が「SURUTOCO」になり、その流れでフランチャイズに加盟してくれているところも地元の言葉で「刷る」いうのが屋号になっているところが多いです。

モトヤ→それはそこのオーナーさんが考えて名前を付けてるんですか?

山川社長→あぁ、そうなんです。「何でもいいですよぉ」っていったら、みんなそっちに寄ってるようですね。そこはうちの会社ではないので「自由に名前を付けて下さいよっ」ということです。

SURIMACCA+(スリマッカプラス) WORKSPACE 一覧


モトヤ→NOT GUTTERなんていうのもありますが?

山川社長→編集をやっておられる方で、JAMで開催したワークショップに参加していただいたのがきっかけで、共感してくださり加盟店となってくれました。東京ポートボウルの一画にあります。

モトヤ→フランチャイズ(FC)はここと同じ事業形態なのですか?

山川社長→いえ、SURIMACCA+(スリマッカプラス)なので、SURIMACCAを使って、本業のお手伝いをしますよっていうゆる~いフランチャイズなんです。

SURIMACCAの器具とか資材を販売していただくことができ、それを使って作業場として提供してくださいよっていう感じです。普段違うモノやサービスを提供されているので、そこに相乗効果としてSURIMACCA+を利用していただければ私たちもうれしいですし、孔版印刷も広がると思っています。

文房具店のフロアの一画で作業場を作っていただき体験していただくという事例。文房具店なのでものづくりに関係する商品も取り扱っているので相乗効果が期待できるというわけです。

また、廃校となった学校の一画を作業場とし、コミュニケーションスペースとして活用しているという事例があります。また先生がスリマッカを授業としてつかっていただいたり、学生さんが卒業制作で使ったりしてファンになってくれています。

他の業界と比べるとこれまでお話してきましたように孔版印刷というのはなかなかニッチなマーケットです。

スリマッカ体験


モトヤ→台湾にお店があると聞いていますが、なぜ台湾なのですか。

山川社長→会社設立当初から事業をする場合、こじんまりやるより大きな視野をもってやるのがいいと考えていましたので海外も視野に入れていました。

そうするとアジア圏は日本、あとはアメリカ、ヨーロッパと大きく 3 つに分け拠点を考えました。その皮切りとしてアメリカ、それも暖かいサンフランシスコがいいだろうと考えました。

まず市場調査のためサンフランシスコにいきました。いいなぁと思っていたのですが、法人を立ち上げるのにいろんな条件があるんですよ。お金もいるし、距離も遠い。それで断念したときにメーカーさんのほうから「台湾はどうですか」と提案をいただきました。

「いちばん海外進出しやすいのは台湾かもしれませんよ」といわれました。レトロ印刷スタート当初より台湾からのHPアクセスも多く、ちょうどその頃ワークショップを台湾でやるお話しをいただいたので実際やってみましたが、とても好評で反応も良かったんです。

そういったことがあって台湾に出店することに決めたんです。はじめにスタッフ1名を含む3人は飛び込みで出店地を2週間の予定で探しに行きました。あの頃は勢いがあったので。今はようしませんけど。

台湾JAMのフェイスブックの登録者数は4万くらいあるんじゃないでしょうか。今後についてはコロナ禍になったので海外戦略っていうのは基本的には恐らく海外に行くというよりは、海外発送をするというほうが現実的かなぁと思っています。

海外のある程度主要な国から「商品が欲しいんですけど」という問い合わせがありますが、断っているのが現状です。海外戦略としたらその断っているのを断らずに海外発送に変えていくとかですかね。

あと特徴として基本的には広告を出さないというのがありますね。今は少しSNSでの広告をやっています。レトロ印刷が出来てもうひとりの創業者と一緒にやろうとしたときに、僕が「各出版会社にアクションしよう」って言ったんです。そのとき結局広告を出すのを止めることになりました。

でその理由なのですが、レトロ印刷をやりました。「ずれて、かすれて、インクが落ちてるけど面白いです。だから来てください」となったときに、制作物が何もないんです。まだやり始めたところなので、機械も置いているだけで誰も使ってくれない。それならむしろ、「気づかれるまで、声がかかるまで、いろいろなことを発信しつづけよう」ってなりました。

気づかれるということはそれだけの実績があるということなので話すネタがあるっていうことなんですよ。その方が早いし、説得力がある。広告費は高いので、広告費かけるっていうより、いかに特徴があるかということをコツコツと発信し続けていく方が良いのではないかということになりました。

レトロ印刷


モトヤ→まさに今風のマーケティング手法だと思うのですが、その時期は今から15年位前になりますから、今思えばかなり進んだやり方をされてたんですね。

山川社長→まぁ、何度も言ってますけど、全てお金がないっていうことにつながるわけなんです。

モトヤ→そのあたり今はSNSなどを使いお金をかけずにやるのがいいという考え方がひとつありますよね。お金で片付けてしまうというのは良くないというか。

山川社長→「お金をかけてとなるとすぐに考えが生まれてこないですよね」っていう感覚があります。むしろ、お金がない方が知恵がでるというか工夫するので。後で振り返ってみたら良かったなぁと思います。

未だになんとか情報発信して知らせるほうがいいっていう感覚があります。だから、広告にお金をかけるっていうのは抵抗があるんですよね。でも対象によれば広告を使う方が反応が早いというのもあると思っています。

「孔版印刷を文化にしたい」という思いが創業当初からずっとあって。気軽なものは広まりやすい。「孔版印刷」というと名前はとっつきにくいけど、シルクスクリーンのことをいうと、手軽で意外と生活感があるんですよ。生活に馴染むっていうかな。スリマッカだったらコミュニケーションツールとして使ってもらっていつでもTシャツを作れるんです。だからこそ文化になりやすいのではないかという感覚があります。


次回に続く


JAM

台湾JAM

 

 



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