第3回 大通様 エピソード3「スターを探す」

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第3回 大通様 大江美佐社長

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エピソード3「スターを探す


NFCタグ展示品

大通60周年パーティ

 

モトヤ→出版事業を始められたことについてお聞かせください。

出版事業の最初がいつだったかなぁと考えてみたんですが。数年前、東京支社の女性社員が「小柄なのでタイツが弛む」と嘆いていたんです。「小柄でも弛まないタイツを作ったらいいと思うんです」「絶対に需要はあると思います」って言うんです。「じゃあ、それやってみる?」って感じで、タイツを作ることにしました。とりあえずやりたいことやろうっていうスタンスなので。

モトヤ→タイツ、ですか。

まったく畑違いの商材で、専門知識も皆無。どうやって作るか、どうやって売るかも、すべて手探りの状態だったんです。色々調べて何軒か問い合わせするも相手にされず、やっと見つけた大阪の業者さんが「すごく伸びる」素材を教えてくれて、何度か打ち合わせして条件を摺り合わせることができたので「じゃあ作りましょう」ということになりました。そうして何とか、本当にタイツができたんです。

モトヤ→実際に作ったんですか。それはすごい。

最小ロットで1,300足。さあ、次は販売です。とりあえずの足掛かりにとAmazonに出品し、口コミでの手売りにも力を入れました。考案者の女性社員も未経験ながら一生懸命、前向きに取り組んでいました。ところが暫らくして彼女、突然辞めちゃったんです。

モトヤ→それは困ったことになりましたね。

1,300足のタイツの在庫がドーンと残りました。正直、途方に暮れました。でも私は、この会社で起こる全てのことは自分の責任だと思って「これを何とかして売ろう」と、覚悟を決めるしかなかったんです。自分への試練のプレゼントと思って、泣きながら「ありがとう!」って叫んで気持ちを切り替えました。会長がよく言うように、「ピンチはチャンス」と信じて。そしてまずは人脈を作ろうと思って、こういう商品に興味がありそうな人を探しに、動き出したんです。

モトヤ→不屈の精神で

女性向けの商材だから、女性が集まる機会、つまり女性経営者や個人で活動しているような人が集まる交流会に飛び込んでみました。そこで色々な人に「こんなの作ったんです」ってサンプルを渡して回ったら、偶然隣りに座った人が「私、こんなの探してたぁ!」って、とても気に入ってくれたんです。その人と意気投合して、所属されている協会を紹介してもらって、イベントでの販売にも協力していただきました。

モトヤ→新たなご縁ですね。

はい。その協会というのは女性を応援する団体で、理事とも親しくなり、うちの東京支社のセミナールームを利用して何かできないかなぁという展開になり、女性の主張を本にする「FEMINI出版」を立ち上げたんです。このときはまだ出版社登録もできていませんでしたから、お付き合いのあった京都の銀河出版舎さんに出版をしていただいて、大通は企画だけを担当したんです。

モトヤ→出版に辿り着きました。

本は好きですし、どうせなら誰かの宝物になるような本を作りたいと思ったんです。誰かの心の支えや励まし、癒しになるような、一生手元に置いておきたいバイブルのような本を作りたいなと。丁寧な装丁をして心を込めて作るんです。何十年、何百年と残るように大切に扱ってもらえるような本です。

後世に伝えたい大切な想いやメッセージを込めて。時代は電子書籍かもしれないけれど、動作ひとつで消えてしまうデータよりも、そこは敢えて紙の本がいい。出版は印刷でもあるわけですし、うちの従来業務と親和性があります。できない訳がないのではないかと。

モトヤ→そしてできたのがスター出版ですか。

そうです。バーコードが取得できるように出版社登録をしました。だから、元は「タイツ」からの出発だったんです。

モトヤ→スター出版の本は書店で売ってるんですか。

基本は、Amazonやインターネット上だけです。時々書店さんから直接のご注文をいただいて卸したりもしています。「読んでいいと思った本しか取り扱わないという書店」として有名な「読書のすすめ」さんの「本物名著の本棚」に置いてくださってる本もあるんですよ。


スター出版書籍

スター出版書籍


モトヤ→どんな本ですか。

「陰陽五行の教科書」です。香港で修業した陰陽五行マスターが書いた本です。

モトヤ→そんな著者の方をどうやって見つけられたんですか。

それも不思議なご縁なんですよ。保険のセールスマンから勧められたセミナーがきっかけです。東洋思想を指南する香港の仙人のような講師が来て、「人間もって生まれたプログラムがある」というお話をされました。各人のプログラムを理解して、それぞれの資質を活かすような生き方と教育が必要なのだと仰るんです。私は深く感銘を受けて、その人が日本に来るたびにセッションを受けてたんです。そうするうちに「自分の一番弟子のもとで勉強しますか」と紹介してもらったのがこの著者です。

モトヤ→AR(絵本 de AR)もありましたね。私も拝見させていただきましたが、絵本の中を立体のバスが走ってましたね。

そうです。これがスター出版の第1号です。普通ARと言っても最後の1ページだとけかですけど、この「みまもりようかい」は全ページにARを仕組んでいます。絵本でここまでするのはめずらしいみたいですね。


ARで見ると妖怪が表れて動き出す

AR1


ARで見たイメージ

AR2


モトヤ→絵本と言えば、コンテストをされたそうですが。

あぁ、あれは大きな挑戦でした。スター出版のプロデュースを委託している人からのオファーで、障がい児をもつお母さんの書かれたお話に、挿絵を付けて絵本を作るという企画だったんです。「障がいをもつアーティストから募集してはどうか」ということになり、コンテストを運営したんです。

芸術系の大学教授が審査員になってくださって。どのくらい応募が来るのか、本当に絵本にできるような作品があるのか、見当もつかない状態でのスタートでしたが、最終的に50名近くが応募してくださいました。しかも素晴らしい作品がいっぱいあったんです。その中から私たちが選んだ作家さんの作品が、今回絵本になりました。

モトヤ→実現されるのは、すごいです。

せっかく応募してくださったほかの皆さんにも、お礼の気持ちを込めて何か記念品を贈りたくて。作品をひとつずつポストカードにしてお贈りしたら、皆さんとても感動してくださったんです。そんな話をしていたら、審査員の先生が「応募作品に称賛の気持ちを込めて、全作品の展示会をしませんか」と仰って、お知り合いの東京新聞さんに掛け合ってくださったんです。

モトヤ→東京新聞?

はい。本社のロビーで2週間ほど展示していただきました。作家さんにも取材されて、新聞記事にもなりました。そんな感じでどんどん世界が広がって行くんです。そうなるとやっぱり楽しいし、やりがいがあります。応募者とコミュニケーションをとるうちに、送ってくださったお礼状のイラストがまた素晴らしかったり、大通のブレーンとして別件の仕事を依頼したいと思う方も見つかり、さっそく実現したりしました。

障がい者アートという、大きなポテンシャルを持つ分野に出会えたんです。これらの活動を通して私たちの業務の幅が広がったと同時に、今まで埋もれていたアーティストさんを世に送り出せたという実感が得られたのは、本当に大きな喜びです。

モトヤ→社長の著書にあった「埋もれるスター作家」探しが実現したわけですね。

まさにそうです。展示会や絵本を通して、いろんなところからオファーが来ればいいなと思っています。そのためにも、頑張って絵本をいっぱい売って行きます。



⇒次回に続く


大通

 

 

 

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