環境法令を考える:労働安全衛生法③

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~シリーズ:法令の把握と遵守~

環境法令を考える:労働安全衛生法③

前回は労安法の作業者自身が危険性を考え、リスク回避するための「リスクアセスメント」について取り上げました。そして、これから始まる「新たな化学物質規制」は、リスクアセスメントを実施した後の話しとなります。今回はその概要と『ばく露濃度の低減措置』という考え方について取り上げます。
新たな化学物質規制で現状からの変更点は下記の①~④です。

①ラベル・SDS通知対象物質(リスクアセスメント対象物質)の増加
・現行674物質⇒903物質(R6/4~)⇒約2900物質(R8/4~)
・小分け容器へのラベル表示


②リスクアセスメント結果⇒ばく露濃度を基準値以下にする
・代替溶剤/換気装置/作業方法/保護具の順に検討
・ばく露濃度の推定ツール(クリエイトシンプル)の活用


③作業者へ適切な保護具を使用させる
・保護具着用管理責任者の選任


④自律的な管理体制の確立
・化学物質管理者の選任
・作業者への意見聴取


項目①はGHS(化学物質の有害性に関する世界基準)で有害性が確認済みの約2,900物質がSDS通知対象物質となり、リスクアセスメントの対象となります。
また、ラベル表示では洗浄剤を小分けにする際にも、GHS分類のマークや危険性・有害性情報の伝達が義務付けられます。

項目②はリスクアセスメントで特定された有害物質に対して、作業者が吸い込む濃度を最小限に抑えて、基準値以下にすることが義務付けられ、代替溶剤への変更⇒換気設備の設置⇒作業方法の改善⇒保護具の着用の順にリスク・有害性を低減する対策をします。これが『ばく露濃度の低減措置』です。

そこで、現在の作業場がどの程度のばく露濃度なのかを推定するツールが必要となり、それが「クリエイトシンプル」です。これは厚労省が提供するエクセルのマクロ機能を使った簡易的なリスクアセスメントの評価ツールで、化学物質の固有番号(CAS番号)と取扱い条件から、ばく露濃度を推定して基準値と比較できます。※現在は複数物質の溶剤に対応不可でR6/3頃に改修予定のため、それ以降での運用を推奨


項目③は皮膚への障害を起こしうる物質、保護具の対策が必要な場合に作業者へ保護具を着用させるのと「保護具着用管理責任者」の選任が義務化されます。
項目④は「化学物質管理責任者」の選任、リスクアセスメント結果を踏まえた措置の内容と「作業者への意見聴取」を行い、3年間の記録保存が義務化となります。

まとめると「新たな化学物質規制」とは、従来のように国が規制をして、会社が対応し、労働者がそれに従うという受動的な管理体制ではなく、国が情報を開示して、会社がその情報を収集し、労働者自身がその情報をもとに取扱いを考える「自律的な管理体制」の構築です。
労働者が安全に働ける現場環境の実現をモトヤではサポートしています。お気軽にお問い合わせください。

参考資料:厚生労働省



 

 




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