保護具を考える:皮膚障害等防止用保護具の選定⑤

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~シリーズ:人材を守る~

保護具を考える:皮膚障害等防止用保護具の選定⑤

皮膚等障害化学物質の取扱い時に必要となる「不浸透性の保護具」について、複数回にわたり取り上げてきました。今回は作業者の身体全体を化学物質から守るための「保護衣」について考えます。この保護衣は、日本産業規格:JIS T 8115で『化学防護服』として、以下のように定義されています。

酸・アルカリ・有機薬品、その他の気体・液体・粒子状の化学物質の取扱い時に着用し、化学物質の透過・浸透の防止を目的に使用する防護服で、防護服の構造によって分類されます。

大きな分類としては、気密服:全身を保護する気密性の高い構造のもので、イメージとしては宇宙服のような形状です。密閉服:液体・粉塵状態の有害化学物質が内部へ侵入しない構造のもので、雨ガッパのような形状です。部分化学防護服:身体の一部を防護する構造で、魚屋さんのようなビニール製のエプロン姿の形状です。


そして、下記のように防護レベルによって細かな分類があります。

全身化学防護服

タイプ1

気密服

タイプ2

陽圧服

タイプ3

液体防護用密閉服

タイプ4

スプレー防護用密閉服

タイプ5

浮遊固体粉塵防護用密閉服

タイプ6

ミスト防護用密閉服

部分化学防護服

タイプPB(3)

液体防護用部分化学防護服

タイプPB(4)

スプレー防護用部分化学防護服

タイプPB(5)

ミスト防護用部分化学防護服


これらの化学防護服は、皮膚等障害化学物質:1064物質の取扱い時に必要な「不浸透性保護具」の一つですが、特に印刷機の清掃やメンテナンス等で、化学物質に長時間触れる場合、皮膚までの浸透を防止するため、手袋だけではなく全身を守るために必要です。以下に清掃やメンテナンス等の薬品で、皮膚等障害化学物質に該当する代表例をまとめます。

CAS

成分

用途

裾切り値

8008-20-6

灯油

油性・UV用洗い油

エマルジョン洗浄剤

1%

34590-94-8

DPM

UV用洗い油

給水ローラクリーナー

1%

79-33-4等

乳酸

グレーズ処理剤

1%

7664-38-2

りん酸

プレサートクリーナー

親水化処理剤

1%

71-23-8

NPA

速乾洗浄剤

給水ローラクリーナー

1%

67-56-1

メタノール

フィルムクリーナー

エタノール製品の不純物

0.3%

102-71-6

トリエタノールアミン

仕上げ剤・色替え剤

1%


これらはほんの一部分で、皮膚等障害化学物質は製品中に微量でも含有すると、該当します。それは、裾切り値(すそきりち)という環境法令が該当となる最小の含有率が0.3~1%で、別の法令で有機則の裾切り値:5%と比較しても、ごく少量で該当する設定となっているからです。

また、石油系の「灯油」は昨今の原油高騰で、少しでも価格を抑えるために、高価な石油系溶剤の一部を安価な灯油で代用している製品が多く、該当品がかなり多いです。したがって、皮膚等障害化学物質の非該当品を探すという考え方ではなく、該当製品での作業に備えて、化学防護服を常備しておく必要があります。

化学防護服は使い捨てタイプを推奨していますが、これを着用すれば全てに大丈夫という製品はありません。自社の化学物質と化学防護服の運用をよくご確認いただき、ご相談ください。


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