環境法令を考える:労働安全衛生法②

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~シリーズ:法令の把握と遵守~

環境法令を考える:労働安全衛生法②

前回は労安法の「新たな化学物質規制」がスタートするにあたり、その背景にある労働災害と労安法・有機則の歴史を振り返りました。その中で労働災害が起こる度に、法規制物質が追加されてきましたが、化学物質による労働災害は未だになくならず、「規制対象外の物質=安全」という認識には大きな落とし穴があることが分かりました。

そこで、今回は化学物質を扱う作業者自身が危険性を考えて回避するために必要となる『リスクアセスメント』について取り上げます。
まず、「化学物質のリスクアセスメント」という言葉ですが、意味合いが分かりにくく、化学物質の法規制と混同されている方が多いので、下記のように整理をしておきます。

①危険性・有害性の特定
②リスク評価(数値化)・低減措置を検討
③労働者へ周知

これらを簡単にまとめると化学物質のリスクアセスメント⇒リスクの見える化をして、作業者自身が回避できる状態にするということです。では、リスクがよく分からない様々な化学物質に対して、どのように見える化をしていくかというと、大きく二つの方法があります。

一つ目は、実際の作業環境を測定して、実測値に基づき評価をする方法。これは、手間がかからない分、費用が発生します。二つ目は実測値がなくても評価できる方法で、簡易的で実用性の高い「コントロールバンディング法」があります。これはILO(国際労働機関)が有害な化学物質から労働者を守るために開発したリスクアセスメントの評価方法です。
⇒WEB上で厚生労働省「職場のあんぜんサイト」からコントロールバンディングの入力ツールが公開されています。


そして、こうしたツールによって化学物質のリスクアセスメントを実施しようとすると、もう一つの疑問点が出てきます。それは、リスクアセスメントの対象範囲です。化学物質をいろんな用途で使用しているが、リスクアセスメントはどこまでの範囲で行うべきか?というものです。化学物質のリスクアセスメントが対象となるのは、製品のSDS(安全データシート)15.適用法令:労働安全衛生法に「通知対象物質」と記載がある物質全てです。


現在、このSDS通知対象物質は674物質あり、これから始まる新たな化学物質規制では、674物質⇒約2900物質まで範囲が拡大します。
つまり、化学物質を取り扱う事業所では、製品のSDSを最新の状態にしておき、製品が切り替わる度に新しいSDSの通知対象物質を把握して、該当物質についてはリスクアセスメントが必要になります。


モトヤは、化学物質のリスクアセスメントが義務化された2016年から、印刷業界の各所で概要と実施方法について、詳しくお伝えをしてきました。現在、お使いの化学物質について、リスクアセスメントの実施方法やリスク低減のための措置・対策等でお困りのお客様のために、随時ご相談を受け付けております。自社の管理をご確認いただき、お気軽にお問い合わせください。



⇒次号へ続く






 

 




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