第3回 大通様 エピソード2「会社と事業」

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第3回 大通様 大江美佐社長

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エピソード2「会社と事業」

エピソード2では大通の会社の歴史と事業展開の経緯について伺います。

モトヤ→大通さんの社名と、ロゴについて教えてください。

大江の「大」を入れたかったというのと、やはり電通への憧れがあったのではないでしょうか。会長がつけたのですけど。いろんな環境の変化があっても生き残っていけるように敢えて「印刷」とはつけなかったということだと思います。 ロゴは会長がデザイナーに頼んで作ってもらったんですが、ちょっと読みづらいでしょ。「何て読むんですか?」って言う声をわりと聞くから、そろそろ変えようかなと思っています。

モトヤ→コーポレートカラーも(そのときに決められたの)ですか?

会長が緑が好きなので。私も好きですし。ジェンダーフリーでいちばん親しみやすい色だと統計でもでているようですね。スターバックスコーヒーもそうですよね。「グリーン」は地球にやさしいイメージもありますし、気に入ってます。もしロゴを変えてもカラーはこのままで行きたいと思ってます。

シール

シール


モトヤ→印刷機を導入されたそうですが。

オンデマンド機ですね。小ロットはこれから需要が増えるだろうと思って、私の代になってから買ったんです。印刷の中でも小ロットならこれからも需要が増えるだろうなぁという目論見ですね。色々な商材があるので、商材毎に適した現場で作りあげて行きますが、その選択肢のひとつとして、自社生産する体制を敢えて取り入れました。業務スタイルにもあまり拘らないというか。ガチガチにならずに柔軟に考えています。

モトヤ→これまではアウトソーシングが中心だったのですか。

創業当初からアウトソーシングに着目していました。そこには工場を持たないという会長の先見の明があったのだと思います。ずっとそういうスタイルでした。

モトヤ→当時としては珍しかったのでは。

事業スタイルという点ではね。でも接待漬けの下請け事業をしていました。発注担当者のひと言で大きな受注がもらえる時代です。こんなやりとりを聞いたことがあります。

「ポスターの刷り上がりを見てもらえませんか。今日中にOKをいただかないと、納期に間に合わなくなってしまいます。お願いします」そう言って頭を下げると、「わかった。でも今は忙しいから、夜にでも見ることにするよ」と言う。「夜にでも見る」ということは、すなわち「今夜は酒席を用意しろ」という意味です。そういわれれば仕方がありません。すぐに料亭を予約して、夕方に会社まで迎えに行きます。そこでたらふく飲んだ後で、ちらっとポスターを見る。「これでいいんじゃない」とこっちにポスターを放る。ポスターの出来などどうでもいいわけです。」

-株式会社大通 創業者 大江勝博 「人生と経営の旅路」-より抜粋



モトヤ→今ならコンプライアンス面で問題となるところですね。

「こんな事をしていてはだめだ」と一大決心をして、取引を断りにいったそうです。売り上げの大半を失う苦渋の決断だったそうですが、相当な覚悟だったんですね。

モトヤ→事業を再構築されたのですね。

会社の体質改善は大きな痛みを伴ったようです。でもその後、転機が来ます。パナソニックさんからお仕事をいただいたんです。ゴルフの仲間で知り合ったとかで。いちばん最初は挨拶状の印刷がきっかけでした。

建材サンプル帳

建材サンプル帳

 

モトヤ→今ホームページにはサンプルブックなどが載っていますよね。

はい。サンプル帳は紙だけではなく、木材や石材なども含めた加工品です。印刷プラスアルファの商材なんです。パナソニックさんとのお付き合いが、紙だけの印刷物という領域を超えるきっかけになったのです。

モトヤ→旧松下電工の仕事でしょうか。

そうです。旧松下電工さんです。それからゲーム会社さんも京都のある方が紹介してくださいました。当時まだトランプ、花札の会社でした。その時代からのお付き合いです。トランプの説明書の印刷を受注したのが最初でした。

モトヤ→ご紹介があったとはいえ、そのご縁をつなぐのは簡単ではないですよね。

もちろん。今に至るまでの道のりには大変な場面が何度もありましたけれど、何とかお付き合いを続けさせていただいてます。

モトヤ→ゲーム会社さんからはどのような商材を受注されていますか。

今はラベルです。カートリッジのタイトルとか、ゲーム機本体のバーコードラベルです。

モトヤ→それはものすごい数ですよね。

世界中の分を、いろんな言語の物を取り扱っています。

モトヤ→世界規模の取引です。

本当に、得意先様に恵まれています。

モトヤ→売上構成という面では、やはり印刷が大半を占めるのですか。

そうですね。でも印刷業界自体が厳しくなってるじゃないですか。だからそれとは別に不動産や、その他の新事業と3本柱くらいでやっていく方向に舵を切ろうかなと考えています。

モトヤ→2020年大阪のモトヤコラボレーションフェアではNFC(近距離無線通信)のサービスを提案されていましたね。

NFCタグ展示品

NFCタグ展示品


そうなんです。そのときは他にAR(オーギュメントリアリティ)も提案し、ARとカタログをセットで受注させていただきました。得意とする従来の印刷物に、ARという付加価値を付けて特色を出した成果でした。

やっぱり常に柔軟に新しいことを取り入れていかないと。何か今の印刷業界は考えが固まってしまっているように見えるときがあります。でもそれは、私自身が印刷のことをそれほど詳しく知らないから言えるのかも知れませんね。

モトヤ→今の時代は企画とか販売促進のことに意識を向ける方が有利に働くのかもしれません。

仰る通りです。それが今の事業ドメインの枠を超えるチャンスに繋がると思うんです。挑戦し続けたいですね。現状は従来の事業が安定しているから言えるのかも知れませんが。

モトヤ→でも、結局そういうところが強みになっているのではないでしょうか。自社のベースをしっかりと固めたうえで新しい取り組みにも挑戦できるということですね。

はい。新しいことを取り入れるのには多くのリソースが要りますから。今だからこそできることがたくさんあるので忙しいです。

モトヤ→2022年4月にプライバシーマークを取得されましたね。これには何かの目的があったのですか。

DMなど個人情報を扱う受注がきっかけです。プライバシーマークを持っていると情報管理をきちんとしているという証明になりますし、会社の信用につながります。情報管理はこれからますます重要ですから、そういったことに取り組んでいると新たな仕事も増えると考えたんです。

モトヤ→なるほど。より仕事を多く獲得していくため取得したということですね。

より多く、より良い仕事を獲得するためです。厳しいクライアントさんにも納得していただける体制づくりです。そうしないときちんとした企業からいずれ相手にされなくなってしまいます。

うちみたいな小さな企業が大手企業さんとのお付き合いを続けて来られたのは、ずっと長いあいだ誠意をもって仕事をしてきたからです。けれどいつまでもそれに甘んじるだけでは説得力が足りません。新規のクライアント開拓にも限界があります。プライバシーマークの取得は、どんな相手にでも納得していただける証明を得るという良い機会だと思ったんです。


 

⇒次回に続く


大通

 

 

 

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