第3回 大通様 エピソード1「ご縁のふりかえり」

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第3回 大通様 大江美佐社長

第3回は、大阪市都島区にある株式会社大通の大江美佐社長です。1962年の創業から60周年を超え、さらなる発展へと日々邁進されています。商業印刷からラベルその他特殊印刷まであらゆる印刷物を取り扱うとともに、出版、デジタル商材販売、イベント、不動産賃貸、観光事業と幅広く事業を展開されています。今回は、いつもと違うエピソード形式でストーリーを展開していきます。皆さまの事業にとって新たなヒントになればと思います。

オープニングはエピソード1です。大江社長がこれまでの事業にまつわる「縁」を振り返るところから始まります。

本社ビル

 

エピソード1「ご縁のふりかえり」

モトヤ→以前、こちらのスタジオのヨガ教室に通っておりました。

そうでしたね。その節はありがとうございました。ヨガ教室はとても楽しかったですね。全然違うことをしているようだけど本業につながったりもしたんです。

モトヤ→今の時代そういった感覚が必要なのではないでしょうか。

はい。あのヨガ(教室)にも中学・高校時代の後輩が来てくれたんですが、ちょうど同窓会の役員をしていたので、会報の冊子を「こんなのやってもらえませんか」という話になり、新たな仕事の受注につながりました。

住宅設備カタログ

つまり、全然違うところで「縁」が動くというか、何か行動すると「縁」も動いて、新しい世界が広がったりするんですよ。いろいろなところ、できるだけ違うジャンルに飛び込んだ方がいいと思うんです。新しい世界に飛び込むと、新しいご「縁」も広がるんです。そうしてあちらこちらに人脈ができるんですよね。

モトヤ→なるほど。確かに同じ価値観の人たちが集まっても、同じ発想しかでてこないかもしれません。

あと事業に取り組むうえで、私がもうひとつ大切にしていることは「楽しさ」です。今まで印刷を生業にしてきて、そのおかげで今があります。感謝の気持ちは大切にしないといけないです。でも業界は以前よりも逆風の時代で、社員の皆さんは日々本当に大変な思いをしている。

その努力に報いるためにも、トップとして明るい未来を指し示していかなければならないと思うんです。だから私は今いるところにじっとせず多方面にチャレンジすることを心がけています。どんなチャンスがあるかわからないし、社員をどんどん巻き込んで行くと、その人の隠れた才能だとかポテンシャルを発見することも多いんです。

モトヤ→刺激的ですね。

そう。私は人をびっくりさせるのが好き。驚きと喜びの顔を見るのが大好きなんです。そんな仕事をしたいと思っています。

モトヤ→驚きと喜びですか。楽しいですね。

それにはアイデアも必要です。例えば「SDGsを意識して“年賀状じまい”します」って増えましたよね、去年あたりから。年賀状の固定観念に囚われず私は今年、お茶屋さんをしている友人に協力してもらって、ハート形のティーバッグがセットされたサプライズ年賀状を出したんです。

大好評でものすごく喜んでもらいました。紙だけに拘らず、ひと工夫・ひと捻りして、人に喜んでもらえることとか、人が「すごいっ」と驚くような、そういうワクワク感を常に考えていくことが大切だと思うんです。

これだって印刷は全然関係ないわけでもないんですよ。商品のラベルをつくるというお仕事につながって行くんです。こういう小さなアイデアや新しい発想の積み重ねが、今後の会社の機動力にもつながって行くんじゃないかと思うんです。

ノート

モトヤ→聞いていてわくわくしますね。ところで大江社長はご自身の著書「風にそよいで、根はまもる」を出版されました。この中に先代から事業を引き継ぐのは「美佐さんでないとダメ」といわれたとあります。それはどうしてだったのですか。

それはたぶん私たちのようなオーナー企業って、銀行の借入保証等をしなければなりません。一般の社員さんでそれを引き受けてくれる人はなかなかいません。だからオーナー企業はその子どもが継がなければいけないということなんだと思います。

自分の家を売ってでもこの会社を守りますというような、そんな決心、覚悟みたいなもの。昔、会長が当時の専務に継承を頼んだけど断られたことがあるそうです。やっぱり腹をくくるっていう覚悟がないと。もう家が無くなってもいいっていうくらいの覚悟が必要なんだと思います。

モトヤ→この本には「この会社、フレックスなんですか」という記述もありましたが。

もうたいへんでしたから。その本にも書きましたが滅っ茶苦茶、滅っ茶苦茶。もう放任もいいとこ。出勤時刻も守らない、直行・直帰ばっかりでどこで何をしてるやら報告も無し。勤怠も経費すらも、きちんと管理できていなかったんです。

みんなが好き放題。でも一方で、社員は自分の仕事に本当に責任感をもっていました。ある意味、個人事業主みたいな感じでしたから。その人が辞めてしまったら担当していた仕事のノウハウは何も残らない。全体を見ると組織としてまったく機能してなかったんですね。

モトヤ→大江社長になられてから株式会社大通はだいぶ変わったのでしょうか。

少しずつ、会社としてまとまりのある集団にして行こうと思いました。当初は反発もありましたが、何年もかけてやっと今のような形になりました。

モトヤ→これからの時代を生き抜く企業として、必要な選択だったのではないでしょうか。

はい、そう思います。以前のような右肩上がりの時代なら、個人事業主の集団でよかったのかもしれません。でもこれからはどんどん新しいことを学んで行かないといけない時代です。個人の力では限界がありますから、会社というひとつのチームで皆がそれぞれ助け合い、補い合って事を成す。足りない力は外から借りる。そういうスタイルにして行かないと存続が難しいと思います。

モトヤ→創業60周年を超えられました。存続できた秘訣はズバリ、何だと思われますか。

取引先様に恵まれたことや社員の頑張りがあったのはもちろんですが、運が良かったんです(笑)。でも会長曰く「運も実力」だそうで。私は会長の時代から貫いてきた「まごころの姿勢」が実を結んだのだと思っています。昔からよく言いますが「お天道様が見てる」って。

私はそういう精神が大事だと思うんです。誰がいようがいまいが、自分に対してきっちりと生きないといけないと思います。そういう誠意って、わかる人には必ず伝わるものです。だから本当に困ったときには必ず誰かが手を差し伸べてくれます。そうして私たちも助けられて、いつか立場が変わった時にきちんとその恩返しも忘れない。そんな繰り返しをしてきました。

モトヤ→自ら運を掴んで来られた。

創業者である会長は私の父であり、子どものころからずっとその姿を見て育ちました。仕事のことはわからなくても、父が大切にしている事は肌で感じてきました。結局は「人」なんですよね。社員も、得意先も、仕入れ先も、目の前の人を大切にしないと、その先はない。その事はしっかり刷り込まれています。

モトヤ→人として大切なことですね。

人生という物語には災難も不幸もあります。しかしその災難や不幸が起きたとき、どんなふうに受け止めてそれを乗り越えるかっていうのを、観客席で神様が見ているんじゃないかなって思うんです。そのときに腐ったりせずに本当に前向きに頑張れる人なのかどうかというのを「一生」という舞台を与えられて試されてるんじゃないかなと思うんです。だから、私はどんなことが起こってもまず「ありがとう」なんです。「ありがとう」って受けとめて乗り越えるようにしてるんです。起こること全てが自分にとってありがたい出来事と思うようにしています。

オリジナルノベルティ

 

次回に続く


大通

 

 



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