環境法令を考える:PRTR法③(2023/4/1~改正PRTR法)

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~シリーズ:法令の把握と遵守~

環境法令を考える:PRTR法③(2023/4/1~改正PRTR法)

「PRTR法」について概要と管理・運用について取り上げてきました。今回は『PRTR法改正による影響』について考えます。PRTR法改正(2023.4.1~)では、対象となる第一種指定化学物質が現在の462⇒515物質へと増加しますが、単純に50物質が増えるというわけではありません。462物質から約140物質が除外されて、新たに約190物質が追加となるため、対象物質の約1/3以上が入れ替わることになります。


こうした環境法令の変更は、消耗品の選定に様々な影響を与えますが、第一に価格面への影響があります。これは、ある成分が環境法令に追加されると、その溶剤は代替品に切り替えられるため、流通量が減少⇒生産量の下落⇒価格が上昇傾向になります。
したがって、メーカーも環境法令が該当になると、製品を廃盤⇒該当成分だけを置き換えた「後継品」を作ります。この時に従来よりもコスト面で上がるため、リニューアル前と同性能で価格だけが高くなってしまう傾向にあります。

第二に性能面への影響があります。これは、ある特徴を持った成分の代替物質がなく、他の成分では大幅に性能が下がってしまう場合です。例えば、低臭気タイプのブランケット速乾洗浄剤で使用される揮発油成分「ノルマルヘプタン:CAS142-82-5」が改正PRTR法では該当となり、この成分の特徴である「速乾性」と「低臭気」を併せ持つ代替物質がありません。

そこで、最も一般的な揮発油成分「MCH:CAS108-87-2」で代用すると、速乾性は維持できますが、臭気が大幅に上がります。⇒代替案として、揮発油成分(第一石油類)を使用せずに、適度な乾燥性成分(第二石油類)と洗浄力を組み合わせたモトヤ速乾洗浄剤(ソフト)で、洗浄時の使用量を抑えて「速乾性」+「低臭気」を実現する方法をご提案しています。


また、他にも代替が難しい機能性成分にブランケット回復剤の成分(ブランケットの凹み⇒凸にする成分)があり、改正PRTR法では非該当の成分で代替案がありません。

第三に安全面への影響があります。例えばUV用洗い油ですが、改正PRTR法で従来からよく使用されてきた成分「ETB:7580-85-0」と「BDG:112-34-5」が該当となります。この二成分は洗浄力・低コストだけでなく、「ローラー材質への膨潤性が少ない」という長所を併せ持ち、毎日使用しても安全性が高い成分です。UV用洗い油は毎日使用するため、洗浄力・乾燥性・コスト・臭気以外にも、ローラーへの影響を考えた設計が必要です。

しかし、製品単価/現場の評価/環境法令だけを重視して選定を進めると、洗浄力/低臭気/低コストに特化した「可塑剤」入りのUV用洗い油を知らない内に使用してしまう危険性があります。可塑剤はゴム製品の軟化剤で、洗浄剤で使用するとローラーが膨潤劣化し、インキ量抑えられなくなる等の印刷トラブルが多発します。※可塑剤による膨潤劣化はNo.30で紹介しています
⇒こうしたトラブル防止のため、可塑剤を含まず膨潤試験済で安全設計の「モトヤUVインキ洗浄剤」をご提案しています。


現在、各メーカーの商品名や型番変更、廃盤⇒後継品が出てきていますが、こうした背景があるため、従来のように製品単価やサンプル評価だけでは、見えないリスクが潜んでいます。代替品や新製品の中身については、不明なものが多いですが、だからこそしっかりと中身を調べた上でのご提案が重要ではないかとモトヤでは考えます。
お客様の消耗品選定に必要な情報をお調べしますので、ご検討の際はご相談ください。






 

 




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