第2回 JAM様 ストーリー4「JAM airline 後編  ~クリエイターのパワースポット~」

HOME > メディア > Paper > 第2回 JAM様 ストーリー4「JAM airline 後編  ~クリエイターのパワースポット~」
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

第2回 JAM様 山川正則社長

前話はこちら


ストーリー4「JAM airline 後編  ~クリエイターのパワースポット~」


年賀状企画の作品


モトヤ→あの、台湾では山川社長がおっしゃってた年賀状という習慣はあるんですか。

山川社長・Nomii→ないですね。

Nomii→けど、作ったんですよね。その文化を(笑)

山川社長→JAMが年賀状の文化をつくったそうです。(笑)

一同→(笑)

山川社長→ほんとですかそれ。(笑)

Nomii→ほんとに習慣はないですね。台湾はどちらかというとクリスマスカードですね。新年はまた台湾の新年があって、旧正月があります。だから2回作る機会がありますね。でもそのときにカードを送るという習慣がないです。お正月はどちらかというとお年玉の袋です。年賀状は出すのではなくて、ポストカードの感覚で例えば自分の作品として売るとかですね。

台湾のお年玉の袋


モトヤ→台湾はICT産業が進んでいる印象があります。日本では年賀状からメールやSNSで年始の挨拶をする変化がみられます。台湾ならそれがもっと顕著なのかと思いましたがそうではないんですね。

Nomii→多分世間にペーパーレスという動きはあったんですけど、でもそのあとに物足りないと思って、やっぱり実物に触れるのがいいという感覚になりました。それで年賀状の企画を出して、毎年100~200人くらいのクリエイターさんに応募してもらい台湾JAMでそれを販売していました。5年位かな。前回はわずか8分で締め切りましたが150人集まりました。若い人が多いですね。

台湾JAM


山川社長→募集したら参加してくれるっていうんですかね。日本でやってるアンソロジーじゃないんですけど。

モトヤ→台湾では他社と競合しないのですか。

山川→リソグラフは全世界に浸透していたと思うんですけど特化していく企業というのはなかなか無かったと思います。それは恐らくリソグラフっていうのはビジネスユースでの機械だったんですね。学校に入ってたり、不動産屋さんでなどでの手軽に早く大量に印刷できるというビジネス用途です。方式としては孔版印刷です。

これはヨーロッパの一部のアーティストさんはシルクスクリーン印刷の自動機という捉え方をされたりします。全自動で紙が何枚もでてくる高性能な機械という印象です。多色刷りができて、インクは完全に定着はしませんけど、表現の幅が広い、そういった部分に注目されるようですね。

日本ではそういう風には使ってこなかったし、メーカーさんもそういった想定をして作ってはいなかったのではないでしょうか。私たちはクリエイターさんとのやりとりのなかでその面白さに気づかされた感があります。そして、それを工場のようにドラムをたくさんもって刷る会社というのは無かったんだと思います。一部、自分の個人なアート活動としてリソグラフを買って作品をつくるというのはあったかもしれないですが、それは自分のためのものですから。

モトヤ→おそらくビジネスとして成り立たせるのはとても難しいのではないでしょうか。

山川社長→たくさんの顧客が見込めないといけないし「これがいちばんいいんだ」っていう思い込めるチカラっていうのがないと続けられないです。

Nomii→台湾でもいくつかスタジオがあって、JAMの前に大手がやっていたんですけど、高級印刷のイメージで高いんです。多分いっぱい失敗してますよね。そのうえたくさん刷るからロスが大きくなるんです。

モトヤ→高級路線はダメなのでしょうか?

山川社長→今は時代が変わって来ていて、最初は安くて早いという路線だったんですけど今はJAMでの販売戦略は様々な商品・サービスを含めオリジナリティを求めて高級志向になっているので、今は付加価値のある印刷になっています。

モトヤ→でも、ずれて、かすれて、インクが落ちるんですよね。

山川社長→あ、それが付加価値として存在するんです。ネット通販の普及によって印刷費自体が安くなったので価格競争になります。台湾でも国内でも同様のサービスを提供する企業は出てきています。

モトヤ→台湾では地域や学校向けにワークショップのような活動というのはされていたんですか。

Nomii→コロナの前は結構いろいろなところへいきました。学校とかイベントとか、主に週末、出張で(台湾の)南の方に行くことが多かったです。やはり珍しいのでしょうか。シルクスクリーンのほうです。レトロ印刷は外でやるワークショップは無くてたまにお店の工場見学みたいな感じで行っていました。結構人気があります。

でも他のスタジオは多分自分の作品をつくるのがメインなので、そういったお客さまを集めるワークショップなどはしていないです。私も最初は自分の作品をつくるというこっち(台湾)の考え方だったんですけど、JAMに入って(創業者)お二人の考え方を聞いて、やっぱりもっと大きなことをやりたいという「想い」に変わりました。今はお客さま優先ですが、たまぁに自分の作品をつくるんですよ。

山川社長→やっぱり、そういった「想い」は僕より強いですね。若い人たちはクリエイターの目線なので、かゆいところがわかっているので、僕にはわからないところですね。

Nomii→クリエイターさんの気持ちがわかるんですよね。

山川社長→場合によってはお客さんの立場に近―く、優しすぎるくらいに寄り添ったりします。その絶妙な加減をスタッフが対応しているのだと思います。

モトヤ→台湾JAMは今後どうなっていくんですか。多店舗化とか。

山川社長→これからそれをNomiiと一緒に考えていこうかと思っています。選択肢は沢山あります。

モトヤ→ワークスペースはどの店にもあればいいなと思います。

山川社長→ワークスペースは作業をする場でもあり、コミュニケーションツールでもあると思います。その国その国にあった独自の展開をしていきたいと思います。「その国」「その時の人」が運営するほうが、よくわかっているし、よく馴染むと考えています。これからが楽しみですね。いろいろなものを発信していきたいと思います。

Nomii→よくお客さんはJAMのお店に行くと、他の人がいろいろ何かつくってたり、知ってる人がいるのを見つけたりします。例えばファンの人があこがれの作家さんがいる場に偶然居合わせたりすることがあります。パワースポットみたいかも知れない。JAMに来たらいろいろなものが見れて、また何か作りたい気持ちになります。

絹印菜市場


モトヤ→いつでもその場所があるというのはなかなか珍しいですね。ほんといつも誰かがなんか作ってますよね。

山川社長→みんなの力がないと成り立たないです。ありがたいですね。それは東京の他、各地にあるスリマッカプラスの加盟店を通じてそういった場所を提供することで世の中の役に立てればいいなと思います。台湾JAMもそんな形になればうれしいですね。

モトヤ→これからのご活躍を期待しております。そうそう今月「紙マーケット」というイベントがあるそうですね。

山川社長→不思議な世界観ですよね。来る人も紙マーケットを求めてくるので楽しそうなんですよね。楽しみで来るので、見ていると「楽しさ」しかないですよね。見ているほうも。これなんて言うのかなぁ。なんか楽しいんですよ。それは見たらわかると思います。見ていただかないと説明が出来ないです。

モトヤ→紙マーケットですからJAMこだわりの紙っていうのがあるのでしょうね。

山川社長→いや、それはあんまり無いですね。JAMの特徴というのはこだわるけどこだわらない。要はデザインしないですから。リソグラフは素材にインクは沁み込まないといけないというのは絶対条件です。しかしそこをクリアしたら面白いというのはスタッフの感性だったりとか作り手だったり、どこでそれが出会うか、物語じゃないですけど。いろんなパターンで間口を広げてするというのがあります。

だから例えば僕自身がそうしています。JAMのロゴも色は付けていないし、デザインはしないっていうのはひとつに偏らないっていうキーワードに基づいたものなんです。みんなに使っていただきたいというのが根っこにあるのであんまり「こだわってるけどこだわってない」んです。

モトヤ→まさに多様性を形にしたような会社ですね。

山川社長→多様性というのは昔から常にJAMのキーワードというか理念にあります。

Nomii→こんな自由な会社はなかなかないですよ。(笑)

モトヤ→それが会社としてキチンと成り立っているのが素晴らしいですね。

Nomii→そこはちゃんとしてる。かな。

山川社長→しかしこんな風にインタビューもしていただけているし、毎日、みんなが元気で会社が動いているのでいいかなと思います。



次回に続く


JAM

台湾JAM

 

 



  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

 

 

Copyright © 2009 MOTOYA All Rights Reserved.