環境法令を考える:PRTR法②(2023/4/1~改正PRTR法)

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~シリーズ:法令の把握と遵守~

環境法令を考える:PRTR法②(2023/4/1~改正PRTR法)

前回は「PRTR法」の概要について取り上げました。今回は『改正PRTR法:管理と運用』について考えたいと思います。前回のおさらいとして、PRTR法は有害な化学物質が、1年間でどの程度環境へ排出されたかを把握するための法律で、2023年4/1~対象物質が462⇒515物質に追加されるため、届出の対象事業者となる「印刷関連業種」で「常時使用する従業員数が21名以上」の場合、「年間取扱量が1トン以上」であるかどうかを確認するため、現在使用中の溶剤はすべて最新の安全データシート:SDSで「15.適用法令」PRTR法の項目を確認して、2023.4.1~改正PRTR法の第一種指定化学物質に該当する・該当しないを振り分ける必要があります。

そして、該当品を振り分けられたら、次は管理・運用です。PRTR法の該当品は年間取扱量の把握が必要なため、以下のチェックポイントがあります。① 年間購入数(4/1~3/31の期間)② 在庫数量の差:締め日の時点(4/1時点-3/31時点)③ 第一種指定化学物質の含有率(SDS:3.組成及び成分情報に記載)※第二種指定化学物質は届け出の義務がないため計算はしない ⇒これらの値を確認すると年間取扱量を計算することができます。


では、実際に年間取扱量を以下のA~C社の場合で考えてみます。

A社:UV洗浄剤14㎏を20缶/月使用。第一種指定化学物質の含有率は30%で、計算式は(年間:240缶+在庫4/1-在庫3/31:例5缶)×30%×14㎏=1,029㎏となり、1トン以上なので届出の義務が発生。

B社:油性用洗浄剤18L(比重0.8⇒14.4㎏)を5缶/月(含有率13%)と速乾性ブラン洗浄剤12㎏を8缶/月(含有率80%)を使用。油性用洗浄剤(年間:60缶+4/1-3/31:例2缶)×13%×14.4㎏≒116㎏)+速乾性ブラン洗浄剤(年間:96缶+4/1-3/31:例4缶)×80%×12㎏≒960㎏)≒1,076㎏となり、こちらも1トン以上で届出が必要です。

C社:H液10L(10㎏)を2箱/月(含有率50%)とブラン回復液1L(比重0.9⇒0.9㎏)を6本/月(含有率25%)と水棒洗浄剤1L(比重0.9⇒0.9㎏)を10本/月(含有率35%)を使用。H液(年間24箱+4/1-3/31:例1箱)×50%×10㎏≒125㎏)+ブラン回復液(年間:72本+4/1-3/31:例1本)×25%×0.9㎏≒16.4㎏)+水棒洗浄剤(年間:120本+4/1-3/31:例2本)×35%×0.9㎏≒38.4㎏)≒180㎏で1トン未満なので、届出は不要です。


このように1トンを超えるか超えないかのポイントは、該当製品の「使用数量」と「含有率」が大きく関わってきます。使用数量を調べるために必要な年間購入数は、納品書や請求書等ですぐに確認ができますが、「含有率」に関しては、安全データシート:SDSに記載されている該当物質を確認して、それが何%を含有しているかを製品ごとに確認していく作業となり、かなりの手間と時間がかかります。したがって、使用量が少なく含有率が低くても、PRTR法の該当点数が増えるほど、管理の手間と時間は増えていくことになるので、注意が必要です。


では、PRTR法の管理・運用の手間が分かったところで、この手間を軽減する方法を考えなければなりません。シンプルな方法はPRTR法の該当製品をすべて非該当製品に置き換えることですが、その溶剤の性能・価格面等でどうしても代替溶剤への切り替えが難しい場合もあるかと思います。

また、SDSの記載が曖昧で該当成分や含有率が不明な製品やリットル表記⇒㎏への換算、取扱量の計算方法等、様々な疑問が出てくるかと思います。そこで、モトヤではお客様がご使用中の溶剤に関して、改正PRTR法に対応した最新のSDSと年間購入量をご用意いただければ、想定される取扱量の判定や非該当製品への切り替え選定を行っていますので、お気軽にご相談ください。



⇒次回に続く



 

 




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