福田印刷工業様「PRINT MANAGER」導入事例

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福田印刷工業株式会社様
『PRINT MANAGER(P-MAN)』導入事例


P-MANを経営戦略の指標に。原価削減へ中綴じ機、印刷機を更新

福田印刷工業株式会社は、株式会社ビジネスイーブレーンの印刷業務・経営支援ソフトウェア『PrintManager』(P-MAN/販売:株式会社姫路モトヤ)により、可視化された損益をもとに次の一手を確実に打てるようになった。将来的には社内原価と見積原価を比較照合させ、管理会計の精度を上げていく。同社は1939年に創業した商業印刷会社。兵庫県神戸市と東京都中央区に拠点を持ち、主に金融機関やメーカーをメインに印刷サービスを提供している。

従業員は神戸事業所に34名、東京事務所に18名の計52名(経営者除く)。デザインを含めた企画・制作から印刷、製本までの機能を備え、顧客と密なコミュニケーションを取りながらものづくりを進めている。同社代表取締役社長の椎名高久氏が「お客様から言われなくても、気づいたデータ不備や誤字・脱字を修正して差し上げる風土があります。コロナ禍ではお客様との関係づくりが難しかったのですが、信頼を築けていたのでリモートへの切り換えやすかったといえます。ただ、私たちの業態は肌でお客様の課題を感じることが必要なので、徐々に対面を増やしているところです」というように、顧客に密着した営業方針を掲げる。

椎名高久社長(左)と渡邉恭太取締役神戸事業部長

椎名高久社長(左)と渡邉恭太取締役神戸事業部長

印刷設備はB2判4色機1台、菊半裁4色2×2色両面兼用機2台、カラーオンデマンド1台。製本機は中綴じ機を揃えている。
P-MANを導入したのは2020年末。約1年をかけて検討し、翌2021年1月からテスト運用を開始して、同年4月に本格的に動き始めた。導入目的は社内改革の指標の可視化と情報の共有化だった。
P-MAN導入前に使っていた販売管理システムは同社の社員が製作したもので、特定の人員しか損益を確認できなかった。データもエクスポートできず、神戸、東京のそれぞれの事業所で互いに案件を見ることもできなかった。
受注伝票は複写伝票による手書きで、経理部門が販売管理システムに入力していた。東京事業所からは定期便かFAXで複写伝票が送られ、しかも営業担当者によって字が判別できない、複写伝票の最後のページに転写されていないなど、現場が混乱する課題もあった。

現在、P-MANでは営業担当者が受注情報を入力する。そこから作業指示書がプリンターから出力されて制作や印刷の生産部門に受注情報が回り、各現場の端末でも確認できる。これにより情報が誰もが共有できる状態となった。同社取締役神戸事業部長の渡邉恭太氏は「最初は円滑に現場が回るように作業指示書の部分から取り組みました。現在、P-MANで集計した数字から、部門別や商品別の損益を打ち出せるようにしています」と徐々に活用範囲を広げている。

同社ではP-MANに集約されたデータを活用して算出した部門別の損益から、製本加工部門の改革に着手した。原材料費が少なく、本来、付加価値額が高いはずの製本部門では、封入・封緘や仕分け作業に人員を要している。顧客の拠点ごとに内容物が異なる発送物もあってどうしても人手が必要だった。中綴じラインでも最低でも3名が付いていた。
「封入や差し込みなど手作業が多く、製本加工は市場価格と製造原価が合っていませんでした。P-MANで損益を見ると改善余地があることが判明し、中綴じラインが1人で賄えるホリゾンのステッチライナーを導入しました」
新中綴じラインは今年7月25日に稼動を開始。まだ結果は出ていないものの、製本・加工部門の固定費は確実に下がることを想定している。

製本工程の製造原価低減に向けて少ない人員で稼動できるステッチライナーを導入

製本工程の製造原価低減に向けて少ない人員で稼動できるステッチライナーを導入

また、印刷部門では設備が半裁のため、全判機を導入している同業他社に比べて売価で不利になっていた。このため、年末にRMGT菊全UV機の導入を決定。3台のオフセット印刷機を2台に集約してオペレーションのコストも下げる。
「P-MANで算出した数字は当社の設備戦略にも寄与しています。もちろん設備投資には減価償却が必要になりますが、黒字化するためにはどうするか、確実に手を打てるようになりました」(椎名社長)

社内原価の見直しへ。数字から改善につなげる

情報共有の面では、神戸・東京の各事業所から双方の状況が分かるようになった。これにより数字をもとにした議論が交わせるようになり、新たな問題点が徐々に見えてきている。かつて設備を持つ神戸事業所は現場の稼動を優先した受注が多かった。逆に東京事業所では製造仕切額に上乗せして売価を算出し、確実に利益を確保する受注スタイルで、両事業所に考え方の乖離が存在していた。また、40年前に設定した社内原価がそのまま使われていた。

P-MANで情報を共有することで改善議論のベースを構築

P-MANで情報を共有することで改善議論のベースを構築

「当社では月次報告で損益計算書をもとに売上、原価、売上総利益、販管費などを報告しています。営業からは、伝票上の利益と月次決算の乖離への疑問も提示され始めました」(渡辺氏)
印刷部門は、時間当たりの生産量が読めるが、企画・制作部門は、難度により作業時間が左右されるため、実際原価が変動しやすい。見積り金額が適正か、制作時間をもっと縮めることができないか、実際原価が見えることで数字をもとにした議論ができるベースが整ってきた。

「どちらが悪いというわけではありません。問題点を把握して改善できる素地ができてきたことが大きく、意識が変わってきています。現実が見えていなければ何が悪かったのか振り返ることができません。こうした改善を少しずつ進めていけば利益は上がっていくと思います」(椎名社長)
商品別の損益からは、時間がかかり単価も低い名刺・封筒の受注を見直した。昨今の資材価格の高騰から価格転嫁する際にも数字を根拠に説明することができようになり、成果を上げている。

今後は社内原価の見直しにも着手する。これにより見積原価と実際原価の乖離を縮めて、管理会計の精度を高める。
椎名社長はP-MANの導入効果について「効果が上がれば社員のモチベーションが上がります。数字よる根拠を示すことで顧客に対しても、社員に対しても説得力が高まります。まだまだこれからですが、見える化できて良かったと実感しています」と述べる。また、「先輩たちが継続してきた会社を持続することが最も大事なことです。それには利益を確実に出していくことです」と、P-MANに期待を寄せている。

 

 

お客様プロフィール

会社名: 福田印刷工業株式会社
所在地: 神戸市東灘区魚崎西町4-6-3
代表者: 椎名 高久
設 立: 1947年(創業:1939年)
URL: https://www.fukuda-p.co.jp/

出典:月刊プリテックステージニュース 2023年8月合併号

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