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イシイ印刷株式会社様
紙面昇温装置『SION』導入事例

現場の困り事を解決し、利益を生む装置
インキの着肉、発色が良くなり更に高品質に

イシイ印刷株式会社（本社：埼玉県児玉郡上里町七本木三田3467-1　小笠原義輔社長）は、埼玉工場の菊全UV６色オフセット印刷コーター機に紙面昇温装置「SION」を導入し、印刷品質の更なる向上やシーズニングで目覚ましい成果を収めている。植井信也製造部次長は「何かを生む機械ではありませんが、現場においては大変ありがたい装置です。冬季における低温用紙の印刷ではインキの着肉不良や紙ムケを原因とする文字や絵柄の欠けや見当不良などが発生し現場を困らせ、印刷機の立ち上がりに時間を要します。また特殊用紙や原反は温度を安定させるために24時間のシーズニングを必要とします。こうした現場の困りごとをSIONで解決しました。結果としてコスト削減につながる装置です。」とSIONの導入メリットを説明する。
エンタメ系、コンパクトディスクや音楽テープ、DVD・ビデオなどのパッケージ、商業美術印刷、ポスター、紙器加工で培った技術をベースに高品質の商品を小ロット・多品種・短納期で対応するイシイ印刷は1971年に創業。従業員50人で、エンタメ系のパッケージ印刷から加工まで一貫生産する。

菊全判UV印刷６色印刷機に搭載された紙面昇温装置「SION」

埼玉工場では菊全６色UVコーター機、菊全２色／１色UV両面機、菊半裁５色機、菊半裁５色UV機２台から製本、抜き加工、仕上げまでの一貫生産設備を持つ。また抗菌印刷においてもSIAA認証を取得。SIAAマークでは、ISO022196法により評価された結果に基づき、抗菌製品技術協議会ガイドラインで品質管理・情報公開された製品に表示され、技術力向上と改善を絶えず追求する。
広い敷地を有する埼玉工場は2016年に導入したKOMORI菊全UVコーター付インライン検査装置搭載６色印刷機に、2022年12月に紙面昇温装置SIONを搭載した。SIONは高品質を追求する同社の重要な選択肢だった。またモトヤからものづくり補助金活用の提案も後押しとなった。

シーズニングの課題を解決

植井製造部次長は「私共が得意とするエンタメのパッケージは品質に非常に厳しく、短納期化しています。印刷から加工までを１日で納品することも珍しくありません。プレッシャーがかかる中で紙が冷えた状態で印刷するとインキの着肉不良や印刷の時に紙面がむける『紙ムケ』や絵柄の欠け、見当不良といったトラブルが起こり、事前に対策を打たなくてはいけません。低温の印刷は現場を不安要因の一つです。SIONを取り付けてからインキの着肉不良は無くなり、シーズニングも不要になりました。生産効率を低下させることなく、季節を問わず、用紙の温度を一定に保ち、インキの着肉性の向上は年間を通して品質の安定化と生産性向上貢献しています」と述べる。

左からイシイ印刷埼玉工場製造部次長の植井信也氏と印刷課係長の細川浩司氏

また機長の細川浩司印刷課係長は「冬場に急に紙が入って印刷をしなければいけない時があります。紙を温めるSIONが搭載されているので紙ムケが軽減されます。インキの乗りと発色が良くなり品質が安定しました」と大幅な改善を図ることが出来たと言う。

紙ムケ・定着不良を解消。生産効率が大幅に向上

厚紙から薄紙、特殊原反など多様な用紙を使う同社では、シーズニングに要する時間とスペースの改善に貢献した。「印刷前に紙を温めるシーズニングは、今までは24時間前に用紙を印刷室に入れて暖房して紙を温めていました。シーズニングの専用室があれば良いのですが、当社の場合はそれがありませんので、印刷機の近くに置き、シーズニングを行っていました。その間は電力費もかかります。SION導入後は、シーズニングの場所や期間が不要になりました」と植井製造次長がシーズニング効果を述べる。
紙ムケやシーズニングの課題とともに生産効率面での改善も見られた。同社のUV６色印刷機にはインライン検査機とコーター機が搭載されている。SIONは温風により紙ムケの防止や紙紛の除去や静電気防止の効果を持つ。紙紛が除去されることでインライン検査機に反応する回数が減った。植井製造部次長は「結果的に機械が止まる回数も減りますから生産効率が良くなりました。実際にSION導入前と導入後の印刷機械の稼働時間を比較すると、SION導入後の稼働時間が上がり生産効率が良くなりました」と成果を強調する。
エンタメ系のパッケージを高品質・短納期のニーズに対応する同社は、更なる市場の変化に対応するために、品質の向上と加工までの一貫生産の効率を目指す。そのためにもSIONはオフセット印刷機の低温印刷の課題を解消し、さらなる進化を追求する鍵となる。

お客様プロフィール

出典：月刊プリテックステージ　2023年９月号

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