環境法令を考える:湿し水の廃棄⇒下水道法/水濁法

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~シリーズ:法令の把握と遵守~

環境法令を考える:湿し水の廃棄⇒下水道法/水濁法

お盆休みや長期連休に、印刷現場では湿し水の交換や循環タンク内の清掃が行われますが、その際に出る「湿し水の廃液」はどのように処理していますか?⇒処理方法には次の①~③があります。

①産廃業者に渡して産廃処理
②下水に放流
③河川等に直接放流(下水処理施設のない場合)

当然、①は産廃費用が発生しますが、法的には何の問題もありません。しかし、②と③の場合『下水道法』と『水濁法』に定める排水可能な基準を満たしているかを確認する必要がありますが、それらの法令や基準はご存知でしょうか?
もし、知らないまま放流していた場合、大きな問題となります。そこで、今回は湿し水の廃棄に関する法令と排水の基準について取り上げます。

オフセット印刷は「湿し水」という印刷に適した水が必要で、湿し水タンク内でH液(給湿液)を1~3%程に水道水で希釈して、設定した濃度と温度で水舟⇒水棒⇒版面へと薄い水膜にして供給され、印刷の汚れ防止や親水性の維持、温度上昇を抑える役割を担っています。版面への薄い水以外は水舟からタンクに戻され、再び水舟へ運ばれ循環します。

そして、印刷時に版面上で乳化したインキや紙粉、スプレーパウダーやガム等の汚れ成分が水棒⇒水舟へと侵入⇒タンク内が汚れて、一定期間(数週間~数か月)で汚水となり、印刷できない状態になる前に新液へと交換になり、廃液の処理が必要となります。


この廃液を放流する際の法令が「下水道法」と「水濁法」です。下水処理施設がある下水道への排水は下水道法:下水排除基準の許容限度内かどうかを確認する必要があり、湿し水の廃液で関係する項目は以下の通りです。

pH:水素イオン濃度⇒酸性・中性・アルカリ性を示す指標
アンモニア性窒素⇒塩素による浄化処理を妨げる水質汚染の指標
BOD:生物学的酸素要求量⇒水の汚れ具合を測る指標
SS:浮遊物質量⇒水の濁り具合を測る指標
リン含有量⇒神経系への毒性成分
鉱油類⇒自然分解が困難な油の成分

これらの中で特に許容限度を超えるのはBODとSSです。超えると下水には流せないので、産廃業者に廃液処理費用を支払って処理が必要です。
そして、下水処理施設を通らない場合は河川等の公共用水域に直接排水となるため、下水道法よりもさらに3倍ほど条件が厳しい「水濁法」の許容限度があり、クリアするのは不可能なため、こちらも産廃処理となります。
※水濁法対策品のアンモニウム・硝酸化合物を抜いたH液がありますが、廃液の状態では水濁法の許容限度を大きく超えるため、直接排水はできません。


そこで、モトヤでは湿し水の循環装置に高性能な「ろ過装置」を取り付けて、循環装置内に侵入した汚れ成分だけを除去して、湿し水の廃液を出さない運用をご提案しています。
フィルター交換は油性:約半年に1回、UV:約1年に1回で、湿し水の交換と廃液を0にして、常に新液の状態で品質を安定させます。自社の湿し水廃棄方法についてご確認いただき、ご相談ください。



⇒次号へ続く




 

 




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