
~シリーズ:法令の把握と遵守~
環境法令を考える:労働安全衛生法の改正⇒リスクアセスメント
前回は労働安全衛生法の改正「新たな化学物質規制」を取り上げました。そこでまず取り組むべきことが「化学物質管理者の選任」「保護具着用管理責任者の選任」「リスクアセスメントの実施」の3点でした。今回はその中の『化学物質のリスクアセスメント』について、最も実用的なリスクの見積方法「コントロール・バンディング法」での進め方を考えます。※リスクアセスメントの種類や概要はNo.63で取り上げています。
まず、準備として、液体・粉体状の消耗品に関するSDS(安全データシート)を入手します。すでに入手済みのSDSは、作成日/更新日をチェックして下さい。※SDSが更新されていないと適用法令が変わっている場合があります。
運用としては、上記の化学物質管理者が1~2年/1回ぐらいの周期で、SDSの更新をお勧めします。
※更新時期は法律が施行される4月以降を目安に実施して下さい
次に最新のSDSからリスクアセスメント対象物質を15.適用法令:労働安全衛生法「通知対象物質」で確認します。この通知対象物質が記載なしの製品はリスクアセスメントの対象外です。
※稀に15.適用法令ではなく、3.組成及び成分情報に記載の場合があるので要確認
通知対象物質を確認したら、WEB上で「コントロール・バンディング」を検索⇒職場の安全サイト「厚生労働省版コントロール・バンディング」のツールへのリンクで液体・粉体作業を選択⇒入力①:基本項目(製品名/作業内容/作業者数/液体・粉体/化学物質数)⇒入力②:作業状況(化学物質名/GHS分類/沸点/取扱温度/取扱い単位)と進みます。
入力①:基本項目の注意点は「タイトル」を「作業名」ではなく、「製品名」で入力する事です。例えば「ローラー洗浄作業」といった作業名だと、ローラー洗浄作業で使用する複数の洗浄剤のリスクを一気に見積りとなり、枝分かれした含有成分と洗浄剤との紐づけが複雑で、後に洗浄剤を切り替える時に負荷となるため、管理面から洗浄剤のリスクは個別で考えて、タイトルは製品名での記載をお勧めします。
入力②:作業状況は「化学物質名称」が必要で、通知対象物質名・製品固有番号(CAS番号)・通知対象物質番号(政令番号)のいずれかで検索し、化学物質名称を入力後に「反映」ボタン⇒GHS分類区分と沸点が自動入力されます。
そして、取扱温度(印刷の適温25℃)を入力して、取扱量単位は「一日の作業で使用する量」を選択します。
入力作業後、コントロール・バンディングの実施レポートと対策シートがPDFで作成されるので、製品のSDSとセットで保管し、作業者へ危険・有害性を周知します。すべての製品で周知したら、化学物質のリスクアセスメントが実施済となります。
モトヤでは、この化学物質のリスクアセスメントについて、実施方法から運用面までサポートが可能です。お気軽にご相談ください。
⇒次号へ続く