
~シリーズ:法令の把握と遵守~
環境法令を考える:労働安全衛生法「濃度基準値設定物質⑤」
前回は化学物質の「濃度基準値設定物質」で、作業環境測定値がなくても、簡易的にばく露濃度を推定できる『クリエイト・シンプル』をご紹介しました。このツールは厚生労働省:職場のあんぜんサイトに無料で公開されており、今回はその実施方法を取り上げます。
まずは、WEB検索「クリエイト・シンプル」からツールへのリンクで、CREATE-SIMPLE Ver.3.1.2(バージョンは随時更新)のエクセルデータを開きます(ご利用環境によってはダウンロードが開始されます)。入力すると自動的に評価レポートを作成する設計となっているため、マクロ機能は有効にしておきます。
(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07_3.htm)
※出典(厚生労働省:職場のあんぜんサイト https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07_3.htm)
1.Excel内の「リスクアセスメントシート」へ対象製品の基本情報を入力
「トップ」の説明タブから「リスクアセスメントシート」のタブを選んで、以下の【STEP.1】基本情報を製品ごとに入力します。※リスクアセスメント時:SDSの通知対象物質、濃度基準値設定物質:前回ご紹介の9種類を参照。
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項目 |
運用例 |
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タイトル |
製品名(SDSに記載の正式名) |
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実施場所 |
使用する場所 |
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製品ID等 |
IDや型番等 |
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製品名等 |
製品の呼び名等(空欄でもOK) |
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作業内容等 |
作業名(洗浄作業等) |
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備考 |
特記事項があれば記載 |
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リスクアセスメント対象 |
吸入/経皮吸収/危険性(爆発・火災等)を選択 |
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性状 |
液体/粉体/気体を選択 |
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※成分数 |
リスクアセスメント時:通知対象物質の該当成分数 ばく露濃度の推定:濃度基準値設定物質の該当成分数 |
2.取り扱い物質に関する情報を入力
次の【STEP.2】取り扱い物質の情報で、CAS:化学物質の固有番号の入力で、物質名やその他の情報が自動的に反映されます。CASが不明の場合は物質一覧から入力します。含有率はSDSの「3.組成及び成分情報」に記載があります。今回は例として、濃度基準値設定物質のCAS:107-98-2⇒プロピレングリコールモノメチルエーテル20%含有品の洗浄作業で、ばく露濃度を推定します。
3.作業内容に関する質問へ回答
次は【STEP.3】作業内容に関する下記Q1~Q15の質問です。
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Q1. |
取扱量 |
1回あたり(連続作業は1日あたり) |
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Q2. |
スプレー作業 |
空気中に散布されるか |
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Q3. |
塗布作業 |
塗布面積が1m2以上か |
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Q4. |
換気条件 |
換気レベルA:換気のない部屋 換気レベルF:密閉容器内 |
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Q5. |
作業時間(ばく露時間) |
ばく露の可能性がある時間全て |
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Q6. |
取り扱い頻度 |
週1回以上/未満の選択と日数を入力 |
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Q7. |
ばく露濃度の変動 |
変動が大きい/小さい |
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Q8. |
皮膚の接触面積 |
接触部位と接触範囲 |
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Q9. |
手袋の着用状況 |
JIS T 8116適合:化学防護手袋の有無 |
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Q10. |
手袋の着用教育 |
教育・訓練の有無 |
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Q11. |
取扱温度 |
作業時の温度 |
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Q12. |
着火源の有無 |
着火源の対策が取られているか |
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Q13. |
爆発性雰囲気形成防止対策 |
可燃性ガスの漏えい防止、換気等 |
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Q14. |
有機物・金属の取扱状況 |
作業時に有機物や金属を取り扱っているか |
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Q15. |
空気や水との接触状況 |
近くで水を用いた作業を行っているか |
4.リスクの判定
これら全てが埋まると、【STEP.4】リスクの判定が可能です。判定は大きく3つの区切りで、ばく露限界値(管理目標濃度)/推定ばく露濃度/リスクレベルがあり、ばく露限界値(管理目標濃度)よりも、推定ばく露濃度が小さい場合にリスクが小さいと判定します。
今回の例では平均的な取扱量での入力で、ばく露限界値が50ppm⇒推定ばく露濃度9~90ppmという結果でしたが、推定ばく露濃度が超過すると、この製品は使えないという事ではなく、この結果から【STEP.5】リスク低減対策の検討が可能です。
まとめると、クリエイト・シンプルは使用条件のどこを変えればリスクが低くなるかを具体的に検討できるのが強みです。推定ばく露濃度は、成分の含有率/取扱量/換気方法/作業時間/作業頻度が見直すポイントです。こうした項目の改善には、消耗品の総合的な知見が必要です。リスク低減対策でお悩みの際には、モトヤへご相談ください。














