富沢印刷株式会社様
『PRINT MANAGER(P-MAN)』導入事例
社内のデジタル化を進めた「P-MAN」
パンフレットやカタログ製作などをメイン事業としている富沢印刷株式会社(東京都荒川区、富澤隆久社長)は、ビジネスイーブレーンの印刷情報管理システム「P-MAN」(PRINT MANAGER:総販売代理店 モトヤ)を9年前に導入し、社内情報のデジタル化の基盤を築いた。
企業生き残りのためには新規事業への取り組みも必要とされているが、そのためにも業務のデジタル化が必要であり、P-MANを導入したことで、デジタル化が進み、基盤づくりに役立てることができたと語る。同社社長の富澤隆久社長に話を伺った。
富澤 隆久社長
見積もり機能で業務改善
富沢印刷がP-MANを導入したのは9年前にさかのぼる。それまで活用していた受発注を管理するためのシステムは、収容できる情報量や、システムとしての限界を感じたことがきっかけとなり入れ替えを考え、複数の経営管理システムを比較・検討した末に、PMANを導入した。P-MANを選択した要因として、導入のしやすさを第一に挙げる富澤社長。「初期設定も他社製品に比べて楽に行えるため、即効力があると思いました。導入のハードルが低かったことが選んだ大きな理由の一つです」と語っている。
さらに、導入にあたり最も注目していたのは見積もり機能だったという。実際、見積もり作業が楽になり、業務時間の短縮化に繋がっている。導入後は、営業部門の人員だけでなく、他の社員も含めてある程度の見積りができるようになり、「これは社内業務としても大きな変化です」と実感を語る。それまでは、顧客先から「おおよその金額が知りたいのだけど」という相談があっても、半日ほど掛かるのが当たり前だった。しかしそれは、顧客側からすれば不便なことだった。ところがPMANを導入したことで、誰でもある程度の見積もりができるようになり、見積もりの相談があれば、その場で応えられるようになった。これにより、見積もり作業の時間も短縮化され、本来の営業活動に集中できるようになった。
見積もり機能の効果は、受注活動だけでなく、仕入れ先に対するインパクトもあったと評価する。印刷の見積もりを出すためには、印刷代金だけでなく、加工代や紙代なども必要で、特に資機材は価格が変動する。値上げがあれば、その都度、仕入れ先の協力会社からエクセルべースのデータを提供してもらい、P-MANに移植していく。この作業を行うことで、常に正しい印刷料金が導き出されている。
そうなると、例えば用紙の値上げがあると、予算の関係で印刷クライアントと相談しながら、別の用紙を選択するという作業をする。その場合、卸値の安い会社を選ぶこともあり、付き合いの長さではなく、あくまで数字で用紙を選択するようになる。「これは協力企業さんにとっては、大きなショックだったと思います」と振り返る。
特に仕入れ管理では、印刷関連資材は種類が多いことから、データ活用の利便性が高いと評価を寄せる。加えて入金の確認など金銭に関することは全て利用している。
見える化と情報の共有化進む
P-MANでは、ダッシュボード機能をつけてもらい、より使いやすく改良。会社全体の売上、売り上げ目標、付加価値、各営業担当者毎の売上や付加価値、顧客の履歴や、細かな情報共有ができるメモ欄なども、上司と部下との間の営業報告のやり取りでも利用する。
受注した後の初校から校了までの管理も行われていくため、いつ・誰の・どの仕事が校了になるのかが社内全体で把握でき、凡そのスケジュール管理が行われている。P-MANにより、管理全体がデジタル化され、スマートな働き方になってきている。ただし、ホワイトボードのほうが素早く確認できることもあるため、ホワイトボードとP-MANを兼用している。
経営的な指標をつくるのにも役立っている。改善が進み、検索がしやすくなるなど使いやすくなっている。その結果、受注高が伸びている顧客先や担当者毎の受注内容などがわかりやすくなった。カレンダーやチラシ、取説など品目ごとに分析でき、担当者毎に得意な仕事の内容や、赤字の案件がどれだけあるのかなど確認できる。
富沢社長は、P-MANのデータから、個人毎の成績などもグラフ化し、成績を明確にして、各人の得意不得意もわかるようにして、不得意なところをサポートする手助けとしている。印刷機毎の生産高についても明確化し、どの機械がどのように使われているのかを解りやすくするなどデータ活用することで、良い方向にもっていくことを心掛けている。また、色々な数字の判断が統一できることがよかったことだという。例えば、顧客企業に対しても、受注価格の例外をつくらず、統一価格にしている。これにより情報がより共有化され、業務をスムーズに動かすことに繋がっている。
今ではP-MANは業務の中に自然に浸透しており、当たり前の仕組みになっている。導入当時について「ちょうど世代層も、入れ替えのタイミングで、システムに付いてこられないという人がいないことがよかったかもしれません」という。
それは営業部門に限らない。工場でも作業日報をつけるようになっているが、その作業ができないという世代がすでにいなかった。新しい仕組みや設備に抵抗感なく、受け入れられやすいことは同社の社風といっていい。こうした社風にデジタル化が融合して、今の富沢印刷が機能している。
特に、P-MANの導入はデジタル化の基礎づくりに繋がったという。印刷業界では、新事業へ取り組むことが企業の生き残りに必要だとのことから、ソリューションビジネスやワンストップサービス、提案営業の必要性などが言われている。しかし、こうした新事業に取り組むためにも、きちんと受注1件あたりの損益を計算することが肝心であると指摘する。損益が明確であることは、受注内容が見える化されていることであり、それによって、どこに手を打つべきかを知ることができる。その判断があってこそ、新しい事業に取り組み、乗り切ることができるのではないかと考えている。「改めて、PMANを導入して、受注管理にきちんと取り組んでおいてよかったと思っています。新事業を進めるにあたり、足腰を強く、経営の基礎知識がないと進められないと思います」。
P-MANにより、デジタル化と情報の共有化が進んだと評価する富澤社長。デジタル化により、全ての作業指示書が無形化され、いつでも加工や編集可能なデジタル素材であり、それがその後グラフにまとめることもできる。また情報の共有化により知見が共有化され、過去のトラブルを次に生かしたり、担当者が不在でも対応できるようになった。無意識のうちに業務が明確化されており、「これが見る化だったんだなと思っています。何より、早く仕事を終わらせて、早く帰れる組織になっています。それはモチベーションアップにもつながります」と語っている。
お客様プロフィール
会社名: | 富沢印刷株式会社 |
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所在地: | 東京都荒川区南千住3丁目4番4号 |
代表者: | 富澤 隆久 |
設 立: | 1960年4月 |
URL: | https://10330.co.jp/ |
出典:月刊プリテックステージ 2020年8月号