環境法令を考える:消防法③「アルコール」

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~シリーズ:法令の把握と遵守~

環境法令を考える:消防法③「アルコール」

前回は消防法をテーマに、印刷現場で最も引火性リスクが高い「速乾性洗浄剤」について取り上げました。今回は速乾性洗浄剤の次に引火性リスクが高い「アルコール」の低減措置を考えます。
アルコールと言えば理科の実験で使用したアルコールランプを連想しますが、あれは燃料用アルコールで、印刷現場ではほとんどが湿し水添加剤として使用されており、保管量も多いです。※湿し水添加剤の種類や働きは、第41号42号で取り上げています。


湿し水に添加するアルコールがなぜ使用されるかと言うと、オフセット印刷に必要な版面を薄い水膜で濡らすための水である「湿し水」の給水能力を高めて、インキ中に入る水分を細かく分散させて水幅を広げる等、印刷を刷り易くするための効果を付与できるからです。


これらは消防法の指定数量が400Lで、一斗缶14kg(比重0.8付近)で約18Lのため、アルコール単体でも5缶(90L)で0.2倍以上⇒許可申請、23缶(414L)で1.0倍以上⇒届出申請が必要です。※指定数量と申請については第68号で紹介⇒指定数量は他の危険物(各種洗浄剤)と合算されるので、実際はもっと少量で超えてしまいます。

では、指定数量を抑えるために、アルコールの添加量を減らして、引火性リスクを下げられるかというと、そう簡単ではありません。それは、アルコール添加剤がオフセット印刷の品質を決定する上で、要となる「湿し水」の微調整に大きな影響を与えるからです。例えば、アルコール添加剤を半減すると、湿し水に付与される効果も半減し、給水能力が落ちて水不足による地汚れや、インキ中に入る水分が大きくなり、インキ含水量の限界を超えて過剰な乳化汚れや様々な印刷トラブルが発生してしまいます。

また、最近ではノンアルコールタイプのH液として、アルコール添加時と同様の効果:水の粘度を上げる・表面張力を下げる・乳化を抑える等を付与した製品もありますが、アルコールだけが持つ特殊効果(水を細かく分散・揮発性・殺菌)は付与できないため、水幅の狭いUVインキ・用紙が水を吸わない特殊原反・水に弱い特殊インキ(金・銀・白・特色)等の条件が揃うと、汚れの防止が難しく、アルコールが必要になりやすいです。

そこで、こうした「アルコールの特殊能力」と「消防法:指定数量を低減」を両立した消防法非該当のアルコール添加剤をご紹介します。これは消防法のアルコール類が60%(重量%)以上で該当することから、59%に調整して消防法を非該当にしたアルコール添加剤です。100%のアルコールよりも添加量が少し増えますが、消防法の指定数量による保管量の縛りを受けずに運用が可能です。
自社のアルコール添加剤について、現在の運用方法をご確認いただき、お気軽にお問い合わせください。

エコオール 59N カタログ





 

 

 




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