環境法令を考える:消防法②「速乾性洗浄剤」

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~シリーズ:法令の把握と遵守~

環境法令を考える:消防法②「速乾性洗浄剤」

前回は消防法について、「指定数量」の考え方と一定倍率以上を保管した際の「許可」及び「届出」の申請義務について取り上げました。
その中で指定数量は引火性リスクが高いものほど、保管量に注意が必要であるため、今回はこの消防法:引火性液体のリスクを低減するための運用を考えたいと思います。

まず、印刷現場で最も引火性が高く、指定数量の倍率を上げてしまうのが「速乾性洗浄剤」です。それは、ほとんどの製品で引火性ランクの最も高い揮発油(第一石油類:非水溶性)を主成分としているからで、ブランケット・圧胴・インキ壺等の手拭き洗浄後にすぐ揮発して、洗浄液が残らない乾燥性が必要です。そのため、揮発油はガソリンと同様に常温で気体となり、火種から一気に引火して爆発したような勢いで燃え広がるため、取扱いには十分注意してください。


そして、速乾性洗浄剤に揮発油が多用されるようになった背景には、「胆管がん問題」が関係しています。この問題の要因となった塩素系溶剤(ジクロロメタン・ジクロロプロパン)は、乾燥性能が高いのに全く燃えないため、引火性リスクはなく、消防法非該当です。※当時は消防法対策で、塩素系溶剤を主成分にした速乾性洗浄剤が多用されていました。
現在では、そういった塩素系溶剤が発がん性の問題から排除されて、揮発油主体の速乾洗浄剤の方が主流で、指定数量の倍率を抑えるのに苦労される会社が多いです。

では、引火性リスクを減らして指定数量の倍率を低減するには、どういう方法があるかというと、第一石油類の速乾性洗浄剤を第二石油類に置き換える方法があります。しかし、単純に第二石油類で最も使用量が多い、ローラ洗油に置き換えてしまうと、ブランケットや圧胴等の手拭き作業で液残りが発生するため、第二石油類の中でも乾燥性の早いものが条件になります。

そこで、乾燥性の比較で目安となるのが「引火点」です。各洗浄液を引火点で比較し、乾燥性の違いを見ます。まず、第一石油類の速乾性洗浄剤は-4~0℃付近の製品が多く、第二石油類のローラ洗油が油性:42℃付近/UV:55~65℃付近で、この引火点の高さが乾燥の遅さとなり、作業性を悪くしてしまう要因です。
つまり、引火性リスクを下げて作業性を維持するためには、第二石油類の引火点下限値である21℃以上で、なるべく引火点が低いという条件で選定する必要があります。


そうした理由から、モトヤは引火点30℃付近の精製油をベースに「速乾洗浄剤(ソフト)」という「引火性リスクの低減」と「作業性」を両立した第二石油類の速乾性洗浄剤をご提案しています。それは、第一石油類の速乾性洗浄剤と比較すると、やや乾燥性は遅くなりますが、洗浄後の液残りが起こりにくいように洗浄力を高めて、少量で使用しても作業できる設計にしています。
引火性リスクの低減は、同時に作業者のばく露低減措置と低臭気による作業環境の改善にも繋がります。自社の速乾性洗浄剤の運用をご確認ください。


「速乾洗浄剤(ソフト)」の資料・カタログはこちら


⇒次号へ続く



 

 

 




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