環境法令を考える:消防法④「ローラ洗い油:油性用」

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~シリーズ:法令の把握と遵守~

環境法令を考える:消防法④「ローラ洗い油:油性用」

引火性リスクの低減をテーマに「速乾性洗浄剤」や「アルコール添加剤」の運用を考えてきました。しかし、印刷現場では他にもたくさんの危険物が使用されています。今回はその中でも使用量・保管量が多くなりやすい「ローラ洗い油」について取り上げたいと思います。


油性用ローラ洗い油は、インキローラを洗浄する最も基本的な洗浄剤で、洗い流す油(石油)という意味で「洗い油」や「クリーニングソルベント」と呼ばれ、印刷機での推奨は第二石油類:引火点42℃付近に調整された石油系炭化水素です。

使用方法としては、印刷機の自動洗浄装置内のタンクに補充して、インキローラへ自動で定量塗布する場合と、手動で塗布する場合がありますが、ローラ上でインキとよく馴染ませて、アイドリングをしながら「ドクター刃」という定規のようなゴム・樹脂製のブレードで掻き取って、受け皿へ運んでインキを回収します。この時の乾燥性が速いとローラ上で洗浄液が乾き、遅いと洗浄後に液残りして、新しいインキがやってきた時に残った洗浄液で溶ける⇒印刷時に地汚れが発生します。

この油性用ローラ洗い油は消防法:第二石油類のため、指定数量:1,000Lで一斗缶18Lでは、12缶(216L)で0.2倍以上⇒許可申請、56缶(1,008L)で1.0倍以上⇒届出申請が必要です。※指定数量と申請についてはNo.68で紹介
この缶数だけを見ると、第二石油類は在庫が多く持てるイメージですが、実際には他の洗浄剤と合算されるので、指定数量は抑えていく必要があります。

では、この油性用ローラ洗い油(第二石油類:引火点42℃)の引火性リスクを下げるために、最も簡単なのは第三石油類:引火点70℃以上(指定数量:2,000L)への切り替えですが、ただ変更するだけでは乾燥性が遅くなり、液残り⇒洗浄後の地汚れが発生するので、洗浄液の塗布量を絞る必要があります。第二石油類⇒第三石油類への塗布量調整目安は約20~30%減です。※塗布量は時間(吐出時間)を減らす調整をします。

しかし、第三石油類で塗布量を絞った状態でも洗浄液の過不足が起きる場合があり、特に洗浄後に急ぎで次のジョブがある場合⇒液残り、通し枚数やインキ量が多い時の洗浄の場合⇒液不足の状態が発生します。これらが頻繁に起こるようであれば、第三石油類の塗布量減だけでは難しいです。


そこで、引火性リスクを抑えながら乾燥性に幅を持たせるために、第二石油類:引火点42°と第三石油類:引火点70℃を半分ずつ混合する方法があります。これは、炭化水素が均等に混ざり合う性質を利用して、お互いの良い部分で弱点を補完することができます。混合した引火点が55~60℃ぐらいと考えて、塗布量は約10~15%減を目安に液残り・液不足が起こりにくい「ちょうど良い乾燥性」に調整します。

この方法は、乾燥の早い第二石油類の使用量を抑えるだけでなく、臭気の低減・洗浄力の強化・作業者のばく露低減に繋がります。現在ご使用の油性用ローラ洗い油をご確認いただき、ご相談ください。


モトヤが推奨する洗い油の資料・カタログはこちら


⇒次号へ続く


 

 




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