基本を考える:インキ添加剤(粘度調整剤)

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~シリーズ:生産性を高める~

基本を考える:インキ添加剤(粘度調整剤)

新年あけましておめでとうございます。昨年の漢字は『金』が選ばれました。選定理由は東京オリンピック・パラリンピックの金メダルラッシュや金字塔⇒大谷翔平選手:リアル二刀流での満票MVP獲得、松山英樹選手:マスターズ日本人初制覇、藤井聡太棋士:最年少四冠など、コロナ禍でも数々の偉業がありました。

金メダルラッシュのイメージ
そこで、今回は金に関連して、特殊インキの金・銀やインキの状態が悪いときに添加する粘度調整剤をご紹介します。

金・銀は高級感の付与を目的に使用される特殊インキです。金は顔料に真鍮(亜鉛と銅の合金)を使用しており、身近なものでは五円玉があります。亜鉛と銅の比率によって、亜鉛が多いと青口で銅が多いと赤口になります。銀はアルミニウム粉を使用しており、粒径・薄さ・平滑性などの表面処理で輝度や色味を調整しています。そして、金・銀は金属粉が顔料のため①盛っても濃度が出ない/②水に弱い/③乾燥が遅いといった弱点から、刷りにくいインキの代表と言われます。

理由としては、①顔料の密度が重く紙面まで運びにくい⇒通常インキの顔料(10~25%)よりも2~3倍(40~50%)多い。②紙への浸透ではなく、紙面上に顔料を浮かせて光の乱反射で色表現するため、顔料を運ぶワニスと反発させる⇒水に弱くなる。③酸化に弱いため、ドライヤー(酸化促進剤)を使用できない⇒乾燥が遅くなる。

金・銀インキの特徴について
こうした刷りにくい状態を改善するときに『粘度調整剤』を使用しますが、種類が多く、選定を間違えると改善どころか悪化の恐れもあるため、注意が必要です。選定にはインキの調子が重要ですが、調子とは印刷する上での適度な硬さで「タック:粘着性」と「フロー:流動性」に分かれます。タックは粘着性でインキが引っ張る力により、網点やトラッピングを行います。

この力が強過ぎると紙剥けを起こすため、「コンパウンド」で適正なタック値に下げて調整します。フローは流動性でインキの広がりによってローラー間の転移性を良くして着肉とレベリング(平滑性)に影響を与えます。このフローが低過ぎると転移不良で版やブランケットにインキが溜まるパイリングやインキ壺から出にくくなる壺上がりが発生するため、「レジューサー」で適正なフロー値に上げて調整します。

前述の金・銀インキの場合には、このレジューサーで流動性を改善して重たい顔料を運ぶという選定になります。一方で、「コンパウンド」も「レジューサー」も石油系の希釈剤なので、使用インキの5%以内で添加しないとインキ本来のバランスが崩れて水負けや乾燥不良の原因になります。

また、インキの粘度は温度で大きく変化します。寒い冬場のように粘度が硬い状態(タック:大/フロー:小)を適度な粘度(タック:中/フロー:中)の状態にするための植物油(乾性油)を加熱重合した「00ワニス」という粘度を下げる調整剤がありますが、最近はインキの硬さが(Hタイプ:硬/Nタイプ:中間/Sタイプ:軟)と選択できるようになり、使用されることは少なくなりました。粘度調整剤をまとめると以下の通りです。

・コンパウンド:タック↓/フロー:紙剥け、紙面の強度が弱い紙の場合
・レジューサー:タック↓↓/フロー↑↑:ベタ、流動性や着肉を改善する場合
・00ワニス:タック↓/フロー↑:粘度が硬い⇒中間の状態にする場合

インキの粘度調整剤について

⇒次回に続く


 

 




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