環境法令を考える:労働安全衛生法の改正⇒がん原生物質②

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~シリーズ:法令の把握と遵守~

環境法令を考える:労働安全衛生法の改正⇒がん原生物質②

前回は労働安全衛生法の改正による、がん原生物質を取り上げました。その中で、印刷の現場で使用される研磨剤成分『結晶性シリカ』について、長期的な吸入の毒性と過去の労働災害事例をご紹介しました。今回はこの結晶性シリカを含む研磨剤製品の使用例と、がん原生物質ではない代替品について考えたいと思います。

まず、印刷現場で研磨剤が必要なのは、「①インキローラの色替え洗浄・グレーズ除去」です。これは特色等の後に色が替わる時や、色インキの後にニスをやるような場合に使用されます。こうした状況では、なるべく早くローラ上の残インキを落としきる必要があり、洗い油で流すだけではローラの微細な穴に入り込んだ顔料や固着した樹脂、ワックス等が落ちないので、コンパウンドや高粘度で液体状の溶剤に研磨剤を配合したもので削り落とします。
グレーズ除去も同じような理由で、ローラへ化学的に堆積していったカルシウム化合物の層を研磨剤によって削り落とします。

次に「②固着インキが多い箇所の圧胴洗浄」です。印刷でブランケット⇒紙への転写時に、圧胴側では紙より外側部分のインキが付着し、それが固まって固着インキの層になります。これらの層は樹脂の塊で、接着剤で固めたような状態となり、洗浄剤で表面を溶かしてもほとんど取れず、溶剤を浸透させて研磨剤で削り取る方法で洗浄します。

他には「③版面のキズ取り」で、刷版の非画線部(砂目の層)に入り込んだインキや細かいキズが印刷中に汚れとなるため、版面を洗浄するプレートクリーナーに微細な研磨剤を配合して、物理的に削り取る必要があります。

さらに「④給水クロームローラの油膜洗浄」でも、研磨剤が活躍します。これは、給水ローラの洗浄を繰り返す際に溜まっていく油膜(水分と油分が混ざり合った粘性の汚れ)で、特にクロームローラに少しずつ付着して水をはじく層となり、水膜が均一にならなくなるため、研磨剤入りの油膜除去専用処理剤で油膜の層を物理的に削り取ります。

そして、これらは通常の洗浄作業では、落としきれない汚れの層に対応できる最適な研磨剤(安価/安定性/分散性)の結晶性シリカで対応していましたが、今回のがん原生物質への指定で、作業記録を30年間も保存するという、運用面ではかなり難しい義務が発生したので、がん原生物質ではない研磨剤製品の需要が高まっています。※結晶性シリカは0.1%以上含有でがん原生物質に該当


こうした背景から、結晶性シリカではない新成分の研磨剤製品が出てきましたが、洗浄後に研磨剤が残り、それを取り除くために作業性が悪化したという事例をよくお聞きするようになりました。
そこで、モトヤでは各製品の研磨剤成分を徹底的に調査して、がん原生物質ではない研磨剤成分の中から、①~④の用途で長年の実績がある製品を選定しました。自社の研磨剤入り製品をよくご確認いただき、ご相談ください。



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