環境法令を考える:湿し水の廃棄③⇒ろ過装置の効果

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~シリーズ:法令の把握と遵守~

環境法令を考える:湿し水の廃棄③⇒ろ過装置の効果

湿し水の廃棄について、前回は湿し水ろ過装置に搭載されている「フィルター」に焦点を当てて取り上げましたが、今回はろ過装置の「運用効果」を考えます。そこで、ろ過装置の運用効果をまとめると以下の①~③があります。

①無駄なコストの削減
②品質の安定化
③環境負荷の低減

コスト面:①は、湿し水に混入した汚れ成分による入れ替えのコスト(産廃処理費用+新液入れ替え費用)だけではなく、劣化した状態で印刷を続けることによる「余分なコスト」も加算されます。これは、以下のような負のスバイラルから無駄が発生します。
汚れ成分の混入⇒湿し水の版面濡れ性と粘度の低下⇒給水量を上げる⇒インキ濃度の低下⇒インキを盛る⇒汚れ成分の混入に戻る


そして、この負のスパイラルは新たな無駄を呼び込みます。それは、インキの過剰乳化です。水が絞れず多い状態で過剰にインキが乳化すると、湿し水中に溶け込んで分散し、版面の親水層に付着して汚れが発生します。この過剰乳化を抑え込み、給水量が多くなっても薄い水膜を保って、インキ中の水分を分散させるために(湿し水の水幅限界を広げるために)アルコールが添加されます。

したがって、特色・金・銀・UV等の水に溶けやすい(乳化に弱い)インキほど、アルコールの依存度が高くなりますが、ろ過装置の運用によってこの負のスパイラルを抑え込み、インキ使用量やアルコール添加量を削減する一定の効果があります。(インキ削減効果:約5%~15%)

品質面:②は湿し水に混入する汚れ成分の除去により、紙粉⇒カルシウム成分の溶出⇒ローラへの結晶化⇒グレーズやローラ剥げに至る要因を減少させ、湿し水の状態を常に一定に保つことができるというのが最大の理由です。

そして、もう一つの付加価値として、湿し水の交換に要する時間や印刷機の停止時間、湿し水タンクの清掃時間等の削減によって、印刷機本体の整備やローラのニップ点検・調整時間等の確保ができます。品質の安定化には保守時間の確保が不可欠ですが、人員不足で難しくなっています。
印刷物を生み出す大切な印刷機の保守に専念できるよう、湿し水はろ過装置によって一定に管理した方が、品質の安定化には有効です。

環境面:③は湿し水の廃液を0にすること自体が環境負荷の低減ですが、さらにインキ・H液・アルコールの低減効果によって、VOC:揮発性有機化合物の削減に繋がり、現場の環境改善になります。


また、近年導入が進んでいる現像廃液が出ない環境負荷低減型の無処理版では、機上現像時の給水バランスが崩れると、剥離物が湿し水へ混入してしまうケースもあり、それらをろ過装置が取り除いて無処理版の安定運用に貢献し、導入の後押しとなっている事例もあります。

湿し水ろ過装置導入による費用対効果は会社ごとに変わります。御社の湿し水の運用にかかっている実数値から、コストシミュレーションが可能です。お気軽にお問い合わせください。



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