
~シリーズ:成分の把握と応用~
原油と消耗品を考える:中東情勢による影響
お客様と共に現場の環境改善を考えるコラム「En-Forum」をご愛読いただきまして、ありがとうございます。このコラムは2018年4月から始まり、毎月のご請求書に同封する形で発行しており、8年3ヶ月をかけて、今回で100回目を迎えることができました。これも皆様からの貴重なご意見や、情報をいただき、社内の協力体制も含めて厚いご支援とご尽力のおかげです。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
毎月迫ってくる原稿の締切日に怯えながらも、ご愛読者様が増える度に筆者の体重も右肩上がりにしっかり増量していき、何とか記事を絞り出しているという状況です。そういった意味では少し脂の乗ったコッテリな内容や、逆にあっさりとした回もあり、味付けにバラつきはございますが、今後とも温かい目でご賞味いただけたら幸いです。
さて、今回はそんな記念すべき回ですが、現在の不穏な中東情勢について、取り上げていかなければなりません。毎日のように「ナフサ」や「ホルムズ海峡」といった言葉が報道されて、石油製品のあらゆる物が値上げ・出荷制限・遅延の影響を受けています。弊社にも毎日のように仕入れ業者様からの値上げ通知が押し寄せており、6月17日には戦闘終結に向けた覚書(署名)が交わされましたが、全てが正常に戻るには、まだ少し先になりそうです。
そこで、今回から「成分の把握と応用」という今までとは少し違った観点で、様々な消耗品を成分から考えたいと思います。
では、今回の中東情勢を時系列にすると、2026年2月28日にイスラエルと米国によるイランへの軍事作戦が開始。イランの報復攻撃とホルムズ海峡の封鎖で、原油に関する中東からの物流が停止。その後も停戦協議⇒再衝突⇒再停戦協議を繰り返し、前述の戦闘終結の合意(覚書)が交わされましたが、その後も不穏な動きは続いており、その間に石油化学製品の原料:ナフサ価格は危機前と比較しても2倍以上に急騰して、価格だけでなく原料不足による産業への影響が深刻化しました。
例えば、大手住宅設備メーカー:TOTOの2026年4月13日からユニットバスなどの新規受注を一時的に停止(コーティングや壁面の接着剤等の調達が困難)、大手菓子メーカー:カルビーの2026年5月25日以降の出荷分から、ポテトチップスなどのパッケージを白黒の2色に変更(インク等の調達が不安定)などの報道です。
そして、ホルムズ海峡封鎖後の約1ヶ月後:2026年4月時点において、帝国データバンクの調査で、国内製造業の約3割(約4万7千社)がナフサ関連の調達リスクにさらされるとの試算通り、印刷業界ではシンナー/ストレッチフィルム/PPバンド/アルコール/コーティング剤/ホットメルト/ボンド/接着剤/スチレンボード/テープ等の順に出荷制限や受注停止が発生。
また、供給不安により調達の影響を受けない製品であっても、買い込み等の増加により、受注制限・遅延・値上げが同時並行で発生する前例のない混乱状態となりました。
こうした事から改めて、サプライチェーン:原材料の調達から、製造、物流、販売、消費者に届くまでのモノや情報の流れ全体を考えていく必要があります。そこで、次号ではこの中東情勢を消耗品の各成分から見た視点で全体の流れを考えたいと思います。
⇒次号へ続く













