基本を考える:ブランケット③

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~シリーズ:品質を維持する~

基本を考える:ブランケット③

さて、今回もブランケットがテーマですが、この「〇〇専用」という言葉は「油性専用」「UV専用」という表記でブランケットでも出てきます。そして、「油性・UV兼用」というのもあり、それぞれの違いが曖昧になりやすいです。そこで、今回はブランケットの「ゴム材質」と「表面処理」について取り上げます。

まず、ブランケットのゴム材質は「NBR」と「EPDM」があります。「油性専用」と「油性UV兼用」という油性インキが着く可能性があるものは全てNBRです。「UV専用」というUVインキ限定にしているものはEPDMです。

そして、それぞれのゴム材質は単にインキの対応だけではなく、ゴム材質の違いによる印刷適正やコストが変わります。例えば、NBRはゴム弾性が高く、インキの転移性が良好で印刷適正が◎です。単価もEPDMより安いですが、UV耐性が悪く、UVインキやUV洗浄剤が浸透して膨潤劣化が起こるので、UV印刷では交換枚数が多くなってしまいます。

一方、EPDMはUV耐性が◎ですが、油性インキや速乾性洗浄剤等の石油系には耐性が×で膨潤します。NBRよりもインキ転移性が悪いのと、ゴム部分の添加物が溶けだす「溶出」という現象を考慮して、ブランケットの厚みがNBRよりも分厚いです。したがって、紙離れや紙跡耐性も悪くなるため、それらの性能を補うために表面処理が重要となります。

ブランケットのゴム材質
では、ブランケットの表面処理とはどういったものかと言うと、「表面研磨」と「表面改質」の二種類があります。この二つは主にインキのタック(粘着性)に起因するトラブルの際に、紙離れやインキの転移性向上のために行われます。

表面研磨はゴム表面を物理的に研磨して、紙との接地面積を調整します。面が粗い⇒接地点が少ない⇒抵抗が小さい⇒紙離れ◎となります。また、溝が深くなって抱え込めるインキ量が多くなり、インキ転移性も上がります。しかし、網点の形状は粗いほど悪くなるため、いきなり粗い状態にするではなく、細かい状態で紙離れや転移性を確認して、問題があれば粗いタイプを試すというのが一般的です。

表面研磨イメージ
一方、表面改質はUV照射や化学的な方法でゴム表面の質感を変化させ、ゴムの抵抗を調整することで紙との摩擦低減により、紙離れや耐インキ性を向上させる処理です。これは紙離れや耐インキ性に問題があった時にオプションで行う加工で、通常のブランケットを製造する工程とは別になるため、別途費用と日数がかかる処理です。

表面加工について
これらを踏まえて、ブランケットの材質や表面処理の選択肢を持っておくことで、現在お使いのブランケット品番で不得意な印刷条件が来た際にも、対処の方法が増えるかもしれません。お気軽にご相談いただき、最適な対処方法を見つけてください。



⇒次回に続く


 

 




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