基本を考える:ブランケット②

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~シリーズ:品質を維持する~

基本を考える:ブランケット②

前回に引き続き、印刷品質の維持に不可欠な『ブランケット』について取り上げます。今回はブランケットの構造と印刷適正についてです。ブランケットの基本構造は、以下のように四層で構成されており、断面図はゴム/布/スポンジ/布/布の順で、地層のように重なっています。各層の働きは以下の通りです。※下図参照



①表面層:ゴムの表面を研磨して溝を掘り、紙離れや網点を調整。溝の深さ≒粗さで紙離れ重視と網点重視に分かれます。
粗さ大:粗くて深い溝は紙との接地点が減少⇒紙離れ良い
粗さ小:細かく浅い溝は紙との接地点が増加⇒網点が良い

②ゴム層:ゴムの組成や配合比率で硬さや粘り気を出し、網点とベタを調整します。このゴム層は硬い⇒網点が良い/軟らかい⇒ベタが良いとなります。さらにゴムの粘り気によってインキの転移性や紙離れといった要素に影響するため、このゴム層がブランケットの基本性能を決めています。

③圧縮層:②ゴム層の下にある発砲ゴムの層で、スポンジのようなクッション性があります。圧縮性とは一定の力で押さえた時の歪量で、イメージとしては「吸収性」です。紙の凸凹に対応して着肉し、紙の四隅から受ける力(紙跡)に耐性を持たせます。圧縮層の用語で「圧縮応力」や「荷重値」がありますが、これらは押し返す「反発性」を表し、圧縮性とは真逆です。※圧縮性(吸収性)⇔圧縮応力(反発性)
圧縮性は低いと硬く、高いと軟らかくなります。品質に与える影響としては、圧縮性が低い⇒ベタが良好になり、高い⇒網点・紙跡耐性・紙離れが良好になります。※②ゴム層の硬い・軟らかいとは性能が逆になります。

この圧縮層は②ゴム層(基本性能)の弱点を補完したり、長所を伸ばしたりして、性能のバランスを取りながら、ブランケットの性能を長く持たせる役割で、印刷品質の維持に最も影響する要素です。しかし、装着時に締め過ぎによって、大切な圧縮層を壊してしまい、交換枚数が多くなっている場合があります。締め付け具合(トルク値)は誰が締めても常に一定になるよう、必ず「トルクレンチ」を使用してトルク値での管理を徹底してください。※印刷機種ごとに推奨のトルク値があります。


④布地層:ブランケット全体の支持体で布の層です。布の素材や枚数によって、ヘタリにくさ(耐久性)や装着性に影響します。布の枚数は2~4枚(通常:3枚タイプ)があり、4枚タイプはコスト高ですが、特にヘタリや布の伸びに強いです。2枚タイプには②ゴム層と③圧縮層の間の布を抜き、表面ゴムに受ける力を直接弾力性のある圧縮層で受け止めて、紙跡の耐性と着肉を重視したものがあります。

こうした基本構造と適正を踏まえた上で、ブランケットの性能表を見比べると、今までとは違った視点でブランケットが見えてくるかもしれません。※下図参照
そして、メーカーのカタログは基本的に長所しか記載していません。モトヤでは、お客様に長所と短所を踏まえた上でお選びいただけるよう、現行品の情報やご要望をしっかりとヒアリングさせていただき、選定のポイントをご相談させていただきます。お気軽にお問い合わせください。


⇒次回に続く


 

 




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