
~シリーズ:品質を維持する~
基本を考える:ブランケット
ワクチンの効きにくいオミクロン株「BA.5」への置き換わりが懸念されており、新型コロナウイルスの新規感染者が再び拡大傾向にあります。2020年1月に日本で初めて感染者が確認されてから、もう3年半以上も経過しました。その間にウイルスは変異を繰り返し、今も途切れることなく新たな宿主を見つけて、潜伏しています。我々を取りまく環境は大きく変化し、サプライチェーンの混乱によって、消耗品の価格が急上昇しています。一部の製品は価格改定だけでは対応できず、日本での販売を終了するケースも出てきています。
印刷にとって重要な要素である『ブランケット』も例外ではなく、世界三大ブランケットブランドの一つである「DAY」が国内代理店との契約終了に伴い、日本での販売を在庫限りで終了します。
このDAYブランケットは世界的にとても有名なブランドですが、日本でも多くのオペレーターから絶大な支持を受けている製品があり、品番によっては代替品の選定がとても難しくなります。そうした事情から、未だにブランケットの選定でお悩みの先が多いということもあり、今回から『ブランケット』について、その選定の難しさも含めて、取り上げていきたいと思います。
では、ブランケットの選定の前にまず質問です。ブランケットはゴムですが、同じゴム製品である車のタイヤについて「最も性能が高いタイヤ」とはどんなタイヤでしょうか?⇒答えは条件によって変わります。
①車の種類/②走る道/③走る用途/④求める性能
他にもコスト等の条件はありますが、少なくともこれらが確定しないと、自分にとって最適なタイヤは見つかりません。そして、ゴムに万能はありませんので、長所(求める性能)があれば必ず短所(妥協する性能)があります。つまり、「最も性能が高いブランケット」というのは存在しなくて、求める性能と妥協する性能が自社に合っていることが重要です。自社の印刷環境とそれぞれ一長一短のある製品を重ね合わせて、どれがより合致しているか?という視点が重要です。
他にもコスト等の条件はありますが、少なくともこれらが確定しないと、自分にとって最適なタイヤは見つかりません。そして、ゴムに万能はありませんので、長所(求める性能)があれば必ず短所(妥協する性能)があります。つまり、「最も性能が高いブランケット」というのは存在しなくて、求める性能と妥協する性能が自社に合っていることが重要です。自社の印刷環境とそれぞれ一長一短のある製品を重ね合わせて、どれがより合致しているか?という視点が重要です。
そこで①~④の条件を印刷で考えると、以下のようになります。
①使用する印刷機/②印刷用紙/③印刷物の種類/④重視する性能
これらが詳しく分かれば、より絞り込んだ候補が出てきます。しかし、現場ではブランケットの単価だけで候補を探し、特徴や相性を無視してサンプルを機械に取り付け、テストされているのをよく見かけます。
このような選定では、テストしたブランケットが合っているかどうか分からないだけでなく、そのブランケットが不得意な印刷条件になると、品質の維持が難しくなります。
それと、もう一つの注意点は過去に上記のような曖昧なテスト方法で、悪い結果が出たのを「このメーカーは性能が悪い」と思い込むのは危険です。ブランケットメーカーにはたくさんの品番があり、テスト型番や表面処理の種類も入れると、ラインナップは数えきれないほどあります。常に新製品も更新される中で「数年前に〇〇社のブランケットを試したが、まるでダメだった」という品番やテスト内容も分からない情報だと、何の手がかりにもなりません。一度、過去の曖昧なテスト情報や思い込みはリセットして、一から選定することをお勧めします。
⇒次回に続く