基本を考える:インキ(高感度UV④)

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~シリーズ:トラブルを防ぐ~

基本を考える:インキ(高感度UV④)

六月に入り、じめじめした不快な梅雨の季節になりました。この時期は「体がだるい」「頭が重い」「むくみ」など、体調不良でお悩みの方が増えます。原因は低気圧と湿気です。体にとって過度な水分は自律神経の乱れを引き起こし、梅雨特有のしんどさを感じてしまいます。入浴による発汗、サウナ、有酸素運動など水分代謝を良くするのが効果的です。


さて、印刷でも過度な水分によってトラブルとなる場合があります。特に高感度UVインキで起こりやすい、給水過多による『ローラーストリッピング』がありますが、前回の『グレーズ』と併せて取り上げたいと思います。前回のポイントは以下の三点です。

・高感度UVは短波長域⇒光増感剤が、通常UVの二倍以上
・インキの粘着性が強い⇒印刷中に親水性物質を引っ付ける
・親水性物質が堆積⇒グレーズを形成して着肉にムラが生じる

このように、インキローラーにグレーズ(親水性被膜)が形成されると、インキの転移が阻害され、ローラー上の一部が剥げる『ローラー剥げ』=『ローラーストリッピング』という状態になり、転移不良になります。こうしたグレーズに起因するローラーストリッピングは、グレーズ処理を行うと症状は改善します。


しかし、グレーズ処理をしても、すぐにまた症状が出る場合は、注意が必要です。それは、グレーズではなく「給水過多」の可能性があるからです。
※同時に発生する場合あり

そこで、給水過多の要因を見ていくと、高感度UVインキは強いタック(粘着性)とインキ膜厚が増加する傾向があることから、多色印刷で前胴のインキがブランケットを介して、後胴のインキと混ざって濁る「逆トラッピング」の現象が起こりやすく、特に「濃度が出にくい色で絵柄が多い」「小さい絵柄で濃度が必要」の場合に逆トラッピング回避のために給水過多になりやすいです。

この状態になると版面に余った湿し水中の親水性物質がインキ着けローラー⇒インキ練りローラーへと逆流し、ローラーの端にインキが乗らなくなります。これが給水過多による『ローラーストリッピング』です。タックの弱い水が回転で外側へ流されるので、ローラーの端でしか発生しません。逆にグレーズの場合はインキが着くいろんな箇所で発生するので、見分けるポイントです。
高感度UVのローラーストリッピングについて
では、給水過多の場合はどういった対策があるかというと、温調を上げる方法があります。まず、温調装置を確認して、①チラー冷却が低ければ(23℃付近)⇒2~3℃上げます。チラー冷却は通し枚数が多い時にローラーの過剰熱を抑えますが、ここが低いと着肉が悪くなるので、改善のために少し上げて下さい。次に②湿し水水温(水舟温度)を確認し、これも低ければ(10℃付近)⇒2~3℃上げます。これは水温上昇⇒水の粘度を低下させ、給水量を抑える効果とインキの着肉を良好にします。

最後に①と②で給水不足になった場合は③給水ローラーの水目盛り(回転数)を上げて、地汚れを防止して下さい。①~③でも給水過多の場合のみ、④H液の添加量見直しや再選定を検討して下さい。くれぐれも④だけで対処するのは危険です。水量の変化だけでは一旦収まったように見えますが、絵柄・紙質・温度環境等の変化で、すぐにまた再発します。
水幅の狭い高感度UVでは、常に薄い水膜をキープできるよう注意を払い、いかに水の下限値付近でインキの膜厚を抑えられるかが重要です。
ローラーストリッピング対策



⇒次回に続く


 

 




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