基本を考える③:湿し水(アルコールの種類)

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~シリーズ:品質を維持する~

基本を考える③:湿し水(アルコールの種類)

前回前々回から、湿し水について取り上げています。今回も引き続きアルコールがテーマです。お酒のアルコールは製法により醸造酒・蒸留酒・混成酒で分類されます。そして、同じ分類でも個人の趣向に合わせて、多くの種類が販売されています。食事のシーンや状況によって選ぶお酒は変わり、味や価格だけでなくブランドイメージや希少価値など、選ぶ基準も人それぞれです。

お酒の三分類
一方、印刷現場ではお酒ほど種類はありませんが、湿し水添加用のアルコール製品が複数あります。今回はその違いについて考えたいと思います。印刷で使用されるアルコールは①IPA②TBA③NPA④エタノールに分類できます。それぞれの特徴を以下にまとめます。

①IPA:イソプロピルアルコールは安価なアルコールで、古くから印刷で使用されてきました。しかし、毒性があり有機則第二種に該当するため、近年ではIPA代替アルコールへの切り替えが主流です。
※運用面の注意点「有機則の適用範囲が5%以上なので、IPAを5%未満に希釈して使用すると有機則に該当しない」と勘違いされている先がありますが誤りです。希釈時に吸入の恐れがあるため、5%以上の製品が納入された時点で有機則は適応されます。

②TBA:ターシャリーブタノールはIPA代替アルコールの中で最も使用されています。給水効率が高く①⇒②は添加量を少し減らしても、同等の性能を発揮し、有機則非該当であることから代替が進みました。融点が約25℃のため常温での凍結防止で、どの製品もTBA85%+水15%になっています。
そんなIPA代替の代表格であるTBAですが、有機則非該当でも毒性はIPAよりも強く、日本産業衛生学会が定める作業環境許容濃度(健康に影響が出ないとされる作業中の平均吸入量の限度)がIPA:400PPMに対してTBA:50PPMですので、有機則非該当でも健康への害が弱くならないので、常用して吸い込み続けるとIPAよりも危険です。

③NPA:ノルマルプロピルアルコールはIPAと同じ化学式で構造の違いで性質が変わる異性体です。IPAと同濃度で運用が可能で有機則は非該当です。IPAよりも毒性は弱いとされており、前述の「作業環境許容濃度」が日本では未設定ですが、米国基準では100PPMですので、有害性はIPAと変わらないと考えた方がよいでしょう。

④エタノールはお酒や消毒用として身近なアルコールで、酒税対策として添加物と水を入れたものが製品化されています。IPA代替の場合は添加量を少し増やす必要があり、コストは増えますが①~③と比較すると作業環境濃度は1000PPM(米国基準)ですので、IPA代替アルコールとしては最も有害性は低いです。

お酒の危険性
これらを踏まえると、コスト/性能面(汚れにくさ)/法規制ではバランスが良い②ですが、有害性では④への切り替えやノンアルコール化が環境改善の重要なポイントになります。

そこで、アルコールが必要となる主要因の「汚れにくさ」を補助するために『アルコールではない汚れ防止用添加剤』をご紹介します。これは、数種類の酸と塩で整面効果を高め+乳化安定剤で乳化調整を強化⇒特色や金・銀・白などの汚れやすいインキでも「汚れにくい≒刷り易い」状態にする湿し水添加用の汚れ防止剤で、汚れやすい仕事の前に予め添加しておくことで効果を発揮します。

湿し水の環境を『お酒の力に頼らない』状態に変えて、品質の安定と環境改善を実現していただきたいです。

アルコールと汚れ防止剤について

湿し水添加剤 PRESSMAX コンディションキーパーCK


⇒次回に続く


 

 




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