
2020年10月20日発行
~シリーズ:生産性を上げる~
汚れの蓄積を考える:グレーズ対策
ようやく残暑も落ち着いて、10月に入ると急に朝晩の冷え込みから秋を感じるようになりました。秋と言えば「食欲の秋」とは言いますが、「印刷の秋」という言葉はありません。それは、暑い時期/涼しい時期/寒い時期、年中を通して常に同じ品質を維持しないといけないのが、印刷だからです。さて、今回は『汚れの蓄積』に焦点を当て、洗浄方法の選定を考えたいと思います。そこで、秋の味覚を堪能した後の歯磨きを例にして、ご紹介したいと思います。
歯磨き剤のCMなどでよく耳にする「歯垢」と「歯石」二つの言葉ですが、 似ているようで違います。歯垢とは歯の表面に付く、ネバネバした細菌の塊で、別名「プラーク」とも呼ばれています。食後に約4時間経過するとこの歯垢が増殖して、その細菌が出す酸によって歯を溶かします。※これが虫歯の原因です。
これらは歯と歯茎の境目や歯間に残りやすく、歯ブラシのみでは届かないため、歯間ブラシや洗口液との併用で除去する必要があります。一方、歯石とは蓄積した歯垢が硬くなり、固着したもので、約2日間程度で歯垢⇒歯石へと変わってしまうそうです。※これが歯周病の原因です。
いったん歯石が形成されると、もはや歯磨きだけでは除去できず、歯医者に行って削り落とさないと除去できません。大事なのは、歯石が形成される前に歯垢の段階で除去し『汚れの蓄積』を防ぐことです。
これと同じように『汚れの蓄積』が原因で生産性を落としてしまうことが、印刷現場でも起こっています。それは「グレーズ」のトラブルです。
インキローラー表面にある無数の穴に、普段の洗浄で落としきれていない汚れの蓄積が、湿し水の酸と化学的に結合して、グレーズが形成されることで穴が塞がり、部分的にインキの運びが悪くなってムラが生じてしまう現象です。これは、洗浄をローラー洗い油のみで行っている場合に起こりやすく、汚れの種類ごとに対応する成分で洗浄しないと根本的な解決は難しいです。
いったんこのグレーズが形成されてしまうと、研磨剤入りのグレーズリムーバーで、削り落とさないと除去できないのが、歯石によく似ています。しかし、歯と違う点は、一度ローラーを研磨剤で削ってしまうと、ゴムの凸凹部分がなくなってしまい、巻替えをしない限り再生することはありません。
大事なのは、毎日の洗浄後に洗い油だけでは落としきれない汚れ(インキ顔料/紙粉/親水性物質)に幅広く対応できる仕上げ剤によって、グレーズが発生する前に汚れを除去することです。
モトヤではこうした問題に対応すべく、油性/UVそれぞれのインキに対応した、毎日の洗浄後に安心して使用できる仕上げ剤(モトヤ仕上げ洗浄剤)をご用意しています。そして、週に一度は紙の塗工成分である炭酸カルシウムと水道水に含まれるミネラル分の蓄積を剥がすため、研磨剤の入っていないカルシウム専用除去ゲル(富士フイルム製)も併せて使用されることを推奨します。
毎日の洗浄にひと手間を加えることで、生産性を高めることは可能です。グレーズが出たら研磨剤で削れば済むという従来の考え方では、この先コロナ禍の厳しい状況を乗り切ることはできません。(いつも品質にムラがある印刷会社に印刷物を頼みたいと思うでしょうか)
今一度、自社の洗浄方法とグレーズの対策についてご確認いただき、モトヤへご相談ください。