基本を考える:ブランケット⑤

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~シリーズ:品質を維持する~

基本を考える:ブランケット⑤

前回は「胴仕立て」の基本を取り上げました。今回はその続きです。前回のおさらいとして、胴仕立ては3つの胴(版胴・ブラン胴・圧胴)の胴間隔による「圧」を調整する作業です。1つ目のポイントはブラン胴が版胴と圧胴から挟まれるため、ブラン胴を過剰に高くしないことです。

2つ目のポイントはブランケットの厚み変化(ヘタリ)への対応で、装着時には増し締め、使用後にはブラン下(胴張用紙)で調整して、ブランケットのベアラからの凸量を0~0.05㎜にすることでした。今回はその「圧の維持」について取り上げたいと思います。


ブランケットとブラン下が新品であれば、ブラン胴の過剰な高さと装着時の締め過ぎに注意すれば、圧のブレは起こりにくいです。しかし、通し枚数が多くなるにつれて、使用ヘタリが進行して、厚みの減少⇒印圧不足で着肉不良が起こります。

この時の対処ですが、最初にブランケットではなく、ブラン下の凹みを疑って下さい。ブラン下の胴張用紙は圧縮紙であり、ブランケットよりもクッション性がなく、先にヘタリます。厚み不足の着肉不良⇒即ブランケットの交換ではなく、胴張用紙のみの交換で改善する場合があります。

また、厚み不足を胴張用紙で調整する場合は、ベアラからの凸量を正確に計測できる機器が必要です。ヘタリによる不足分が何㎜なのか、必ず計測した数値に基づいて調整をして下さい。計測器はアナログ式のシリンダーゲージとデジタル式のデジブランがありますが、アナログ式はとても高額(約80万)で、ベアラが隠れている機種だと正確な計測も難しく、作業者によるバラつきが考えられるため、デジタル式(約30万)をお勧めします。

しかし、こうした計測機器は高額で調整にも時間がかかるため、実際はほとんどの現場で使用されずに圧の調整が行われています。さらに、胴張用紙が約1ヶ月、ブランケットが約1ヶ月半~3ヶ月と交換周期が違うため、胴数が増すほど正確な圧の管理は難しくなり、ブレが発生します。

その結果、不足した圧を過剰な仕立てや印圧(圧胴側)で追い込むことで、ブランケットへの過度な力がかかり、紙跡が発生している場合があります。
また、複数のオペレーターで機械を調整する場合も個人差が出てしまい、一定の圧を常に維持するのは難しくなります。

そこで、こうした見えにくい圧の管理について、ブレを解消してくれるパッキングシートが「フィニートペーパー」です。これは圧縮紙である胴張用紙と樹脂ゴムであるポリウレタンを貼り合わせて、1枚のブラン下で機械の標準厚みを約半年間も維持できる特殊なパッキングシートです。



このウレタンゴムはゴムとプラスチックの間のような素材で、ゴムのようなショック吸収性(ショック目や紙跡の軽減)とプラスチックのような耐久性(厚み維持)を併せ持ち、一定の厚みを長期間(約半年)維持できるため、ブラン下で起こる様々な圧の問題を解消します。

そして、このパッキングシートの最も大きな効果が、面倒なブラン下の管理から解放されることです。ブラン下の厚みがほぼ変化しないので、ブランケットの使用ヘタリに集中することができ、適正な「圧の維持」が行える環境になります。

「圧の維持」は品質の維持に不可欠です。現場の圧管理をよくご確認いただき、モトヤへご相談下さい。



 

 




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