硬度と成分を考える:クローム洗浄剤

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~シリーズ:生産性を上げる~

硬度と成分を考える:クローム洗浄剤

さて、前回(保水性を考える:水棒洗浄・処理剤)は、水棒洗浄・処理剤の①インキ洗浄と②保水処理について取り上げましたが、今回は③油膜洗浄=クローム洗浄剤の『硬度と成分』を考えた選定方法をご紹介します。

硬度と言えば、最も硬い物質で有名なのはダイヤモンドですが、クリスマスのプレゼントとしてはちょっと高価な宝石です。そんなダイヤモンドを基準にした硬度に「モース硬度」があります。これは2つの素材をこすり合わせた時に、どちらが傷つくかで硬さを判断した数値で、ダイヤモンドを10.0として1.0:軟らかい~10.0:硬いとなっています。

包丁の研ぎを例にすると、和包丁の硬度は5.5~6.9ですが、それを磨く砥石はさらに硬度が高い7.0以上が必要となります。この数値は硬さの最も簡易的な判別方法ですが、洗浄剤に研磨剤を含む製品の場合には、素材そのものを傷つけてしまわないように、硬度を事前に確認しておくことが必要です。※クロームメッキは硬度が7.0~9.0

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では、印刷現場で使用されている注意すべき研磨剤には、どのような種類があるかというと、硬度の低い研磨剤製品の代表で、クリームクレンザーの「ジフ」があります。これはカルサイト(硬度3.0)という研磨剤で、家庭用ではキッチンやお風呂場でステンレスを傷つけずに手軽に油膜洗浄が行えるので、とても便利な製品ですが、印刷用としては不向きです。

それは、カルサイトという鉱物の主成分が『炭酸カルシウム』でグレーズの元凶であり、湿し水の酸と反応して化学的にローラに固着するので、インキ/給水を問わず、ローラへ使用するとグレーズを誘発します。また、クロームローラ用の製品でも、研磨剤の残りに注意が必要です。パーライト(硬度5.0)という鉱物を使用した製品がありますが、これは手洗いのピンク粉石鹸の研磨剤と同じです。

クロームメッキの硬度で考えると傷をつけてしまう心配よりも、研磨剤の残りがローラを介して版面(アルミ)に到達してしまった場合に版キズや耐刷不良の恐れがありますので、洗浄後の研磨剤をしっかりと落とすことが重要です。その他にも結晶性シリカ(硬度7.0)を使用したものや、ピカールなどの金属磨き用の研磨剤は、硬度の観点からクロームへの使用はできません。

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これらのことから、クロームローラの油膜洗浄というのは、蓄積汚れのため、何層にも重なった状態では研磨剤に頼らざるを得ませんが、いったん処理した後は軽度の段階で取り除いておくべきだと言えます。その際、研磨剤ではなくアルコール系・グリコール系・水溶性ジェル・アルカリと併用して「激落ちくん」で有名なメラミンスポンジを使用する方法があります。

これはメラミン樹脂(硬度4.0)を発砲させた格子状のスポンジで、軽く拭くだけで油膜を物理的に掻き取ることができるので、無理なく洗浄力を高めることができます。⇒強く擦るとバラバラになり、研磨剤と同じ状態になるため、液と水を浸して軽く拭きます。

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大切な湿し水を運ぶ水元(クロームローラ)をいつも綺麗に保ち、安定した水上がりによって印刷品質は安定します。今一度、自社のクローム洗浄をご確認いただき、モトヤへご相談ください。

給水部:洗浄剤/処理剤

ネオホーキンピカe

 

 




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