ゴム材質の劣化を考える①:ゴム専用メンテナンス剤

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~シリーズ:品質を維持する~

ゴム材質の劣化を考える①:ゴム専用メンテナンス剤

2020年の世相を表す漢字はコロナ禍を反映して「密」が選ばれました。3密⇒密閉・密集・密接という言葉や政治判断が密室で行われたことなどが選定理由にあるようです。そして、年明け早々に1都3県への緊急事態宣言が再発令され、今年も先行きが不透明な状況は続きますが、明るい兆しとしては英・米やその他の国々でワクチンの接種が始まっており、日本でも2月下旬を目途に接種が開始される見通しです。

いずれのワクチンにも副作用の検証や供給・輸送・接種体制の確保等で課題は残っていますが、昨年とは違う一年になることを期待したいものです。
さて、今回のシリーズはこの「密」という漢字の「ひそかに」という意味から、気付かない間に進行する『ゴム材質の劣化』について考えたいと思います。

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印刷には様々なゴム材質が使用されていますが、大きく分けて①NBRゴム②ウレタン樹脂③EPDMゴムの3つに分類されます。材質の選定についてはインキへの耐性と材質の特徴も考慮して、油性は①NBR、UVは②ウレタン(ローラ)と③EPDM(ブランケット)という組み合わせが主流です。

今回は特に①NBR(油性用材質)について考えます。NBRは耐油性/引っ張り強度/反発弾性が高く、インキの転移性が良好です。また、他の材質との配合比率によって特性を変化させられるので、加工性の高いゴム材質と言えます。

一方、劣化については耐候性が弱く、空気中で微量に含まれる「オゾン」に対して劣化が起こります。このオゾン劣化は応力(ゴムが外から受ける力)の箇所に起こりやすいため、印刷機にローラを取り付けたままで長期間放置したり、地面に置きっぱなしになると、応力の箇所で劣化が進行していき、ヒビが入ります。長期で稼働予定がない場合には、ローラ保護剤で空気を遮断⇒なるべく機械から取り外す⇒ローラ専用スタンドでの保管(応力のかかりにくい保管方法)をお勧めします。
  
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そして、NBRはもう一つ注意すべき劣化として「可塑剤の移行」があります。これは、ローラの硬度を調整するために配合されている可塑剤(軟化剤)が、印刷と洗浄を繰り返すことにより、インキや洗浄剤の方へ可塑剤が抽出されてNBRの硬度が徐々に上がっていき、硬化劣化してしまう現象です。

適正な転移性を保つためにも、NBRの交換目安は新品時の硬度+5°と言われていますが、この硬度変化に気付かずにニップ幅のみでローラを調整していると、インキや水の転移量が調整できなくなり、品質の維持が難しくなります。

見えにくい差ですが、NBRの価格差はこの「可塑剤の抜けにくさ」も含まれていますので、あまり無理なローラのコストダウンを進めると、抜けやすい可塑剤を使用した安価品で交換頻度が増えて、かえってコスト増となってしまいます。しかも生産性を落とす原因にもなりますので、注意が必要です。

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そこで、こうした劣化への対策として、モトヤでは『ゴム専用メンテナンス剤』という商品をご用意しています。これは日々の印刷で可塑剤が消失したNBRに外から特殊可塑剤を浸透させて、硬度を少し軟らかくすることで硬化劣化を遅らせる効果(良い状態を長続きさせる)があります。

一日の終わりにインキローラや給水の調量ローラへリンスしておけば、翌日にインキや水の転移性が良好となり、印刷品質の維持に役立ちます。是非お試しください。

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⇒次回(ゴム材質の劣化を考える②:速乾洗浄剤)へ続く

 

 




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