保水性を考える:水棒洗浄・処理剤

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2020年11月20日発行

~シリーズ:生産性を上げる~

保水性を考える:水棒洗浄・処理剤

「人間はほとんどが水」というのはよく知られていますが、そんな生命活動に最も必要な水を安心して飲めるというのは、当たり前ではなく、とてもありがたいことだと思います。

冬は夏のように汗をかかず、喉の渇きも感じにくいため、水分補給の機会が減ります。しかし、皮膚や呼吸を通して水分は常に体の外に排出され、しかも空気の乾燥によって体内の水分が失われやすい環境であると言えます。体内水分は1~2%でも不足すると代謝や運動機能が低下すると言われており、調子を崩さないためにもこまめな水分補給が必要です。
 
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そんな人間にとって不可欠な水ですが、印刷にとっても重要な要素で「水を制する者はオフセット印刷を制す」という格言があるほどです。印刷では水の事を湿し水と言い、版面を浸して非画線部にインキが付かないように覆う役割がありますが、この湿し水を版面まで運ぶのが水棒(給水ローラー)でとても重要な箇所です。さて、今回はこの水棒について『保水性』に焦点をあて、洗浄剤・処理剤の選定を考えたいと思います。

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水棒洗浄・処理剤には①インキ洗浄、②保水処理、③油膜除去という3つの役割があり、それぞれに対応する成分が異なります。

①にはインキを流す「溶剤」と洗浄後に溶剤が水をはじかないようにするための「界面活性剤」が必要です。
②は「グリコールエーテル」「有機酸」「水溶性樹脂」といった成分で、『親水化処理剤』という名称のものがこれに該当します。
③の油膜とは、①と②の残留分や湿し水に混入した過乳化インキ成分で、油分/樹脂/水分が合わさった高粘度の汚れの蓄積です。

汚れの上に汚れが重なっていくので、油膜の蓄積具合により対応できる成分は変わります⇒弱:アルコール/中:水溶性ゲル・アルカリ/強:研磨剤

これらのことを踏まえて考えると、水棒洗浄・処理剤を役割:成分の関係を無視して、コストだけで選定するというのは、とても危険です。例えば①の「界面活性剤」はとても高価で、コストの大半を占めていますので、単価を下げることだけを考えていけば最悪の場合、界面活性剤が未使用や不十分な安価品の場合もあります。これではインキを溶剤で落として、その溶剤によって『保水性』を失い、水棒が水を運べなくなり、またすぐ汚れるということを繰り返すので、コスト増だけではなく生産性までも大幅に悪化します。

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上記の例は極端ですが、コストだけでなく、作業性や生産性も考えて選定することが重要です。水棒は湿し水の安定供給が役割なので、常に『保水性』の維持が必須です。そこで作業手順を考えると①インキ洗浄の後にすぐ②保水処理が必要です。

しかし、①と②の作業をみると、①は塗布しながら拭き上げ作業ですが、②は塗布作業+液の乾燥時間(約10分)も別に必要となるので、ジョブの最中や合間では時間が掛かり過ぎて、②の作業を省略されてしまいがちです。この省略により『保水性』が失われて、湿し水の供給にムラが生じ、後に印刷トラブルや品質のムラに繋がってしまいます。

そこで、モトヤではこうした問題に対応した①と②を同時に行えて『保水性』を常に維持できる水棒洗浄・処理剤をご用意しています。今一度、自社の水棒洗浄・処理剤をご確認いただき、モトヤへご相談ください。

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⇒次回(硬度と成分を考える:クローム洗浄剤)へ続く

 

 




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