はじめに
2025年9月12日に省力化補助金:カタログ注文型を活用し、株式会社ミューテック製「高積紙揃機 ミューパイルジョガー mini」を増設された、富士精版印刷株式会社様の工場見学会を実施いたしました。
同社は、元より「高積紙揃機 ミューパイルジョガー」を1台保有済みだったため、今回の工場見学会では2機種を同時に見られる機会ということもあり、午前・午後の2部共にほぼ満員にて開催させていただくことができました。

富士精版印刷株式会社 本社・大阪工場

工場見学前の様子
富士精版印刷株式会社様について
富士精版印刷株式会社様は、関西・大阪市淀川区で“日本一美しい印刷のできる印刷会社”をめざして1950年に創業された印刷会社です。
大阪・兵庫に生産工場を持ち、企画・撮影・デザイン制作・組版の段階から印刷・発送・物流までワンストップ(社内一貫体制)で対応されています。またWebサイト・ホームページ制作やe-book(デジタルカタログ)制作、AR・アプリ開発などのデジタルコンテンツにも取り組んでいます。
また、持続可能な社会の実現に向けて、紙・インキ・刷版などの各分野でも、環境負荷を低減する技術・資材を積極的に採用し、お客さまへご提案されています。
当日のプログラム
①富士精版印刷株式会社様 ご挨拶・増設の背景について説明
富士精版印刷株式会社 代表取締役社長 吉賀様と執行役員工場長 奥村様より、ご挨拶と今回の「高積紙揃機 ミューパイルジョガーmini」増設の背景をご説明いただきました。
印刷機の昼夜運転が伴う同社では、現場の作業者の老齢化も進んでいたことから、紙積み作業の負担減に既に取り組まれており、上位機種である「高積紙揃機 ミューパイルジョガー」を1台導入されていました。
今回の増設では、より一層の老齢化対策に留まらず、長らく印刷業界で課題とされている紙積み作業を簡易化することで属人化を解消する目的もあることをご説明いただきました。
奥村様から「高積紙揃機 ミューパイルジョガー」をはじめに導入した際のお話として「導入してすぐはベテラン社員は慣れた手順で紙積み作業をこなしてしまい、あまり使用してもらえなかった。しかし、使い始めた後は楽さに気づいてもらえたようで、今では「ミューパイルジョガー」が使えなければ紙積み作業をしたくないという社員もいる」と導入前後で作業者の意識が大きく変化したことをご説明いただきました。

富士精版印刷株式会社 吉賀様

富士精版印刷株式会社 奥村様
②株式会社ミューテック様 ご挨拶
今回増設された「高積紙揃機 ミューパイルジョガー mini」の製造元であり、世界初の反転高積紙揃機の開発メーカーである株式会社ミューテック 常務取締役 増田様にご挨拶いただきました。
印刷業界では「紙積み3年」という言葉が根付いているものの、実際に紙積み作業に従事する新人が3年持たないことも多いことから、紙積み作業の負担軽減による人材定着の必要性を語るとともに「ミューパイルジョガーシリーズ」の特徴として除電エアーを通した紙粉除去によって生産性も向上させることをご説明いただきました。
また、モトヤでも以前から取り扱いをしている「紙面昇温装置 SION」の事業譲渡を受け、2025年9月1日より製造・販売を開始したことをご紹介。印刷時に用紙を温める仕組みによって、シーズニングスペース削減による電気代削減や、インキの着肉不良が減ることで、インキマイレージ・品質向上にも貢献できる点を紹介いただきました。

株式会社ミューテック 増田様
③印刷現場での実機見学 ※工場内写真撮影不可
実際の印刷現場を見学させていただき、今回増設された「高積紙揃機 ミューパイルジョガーmini」の紹介・説明・紙積み体験や、最上位機種である「高積紙揃機 ミューパイルジョガー」との違いまで、株式会社ミューテック様よりご説明していただきました。
「高積紙揃機 ミューパイルジョガー mini」は、用紙を積み込むパレットをセットした際には位置が自動調節され、紙が積まれた際には高さも自動で調節。紙をスライドさせる部分には、紙送り用のローラーがついているため誰でも力いらずで紙積み作業が可能な点をご紹介。さらに、積まれた紙は振動によって紙揃えされながら、紙の隙間へ除電エアーが与えられることで紙粉除去にも貢献することをご説明いただきました。
見学された方にも実機で体験いただいたところ、想像以上の使い心地に驚く方もいらっしゃいました。
上位機種である「高積紙揃機 ミューパイルジョガー」は、紙積み作業者が乗るステップがあることが大きな違いであるとご説明。ステップがあることで高さ1300mmまで紙を積むことが可能(mini は850mm)になるため、より大きなロットの印刷業務へ対応が可能となります。
また、当機種では加え位置(奥行)の自動調整機能も持っており、機械が大きいことで紙積みの際に作業者が前傾の姿勢になることが増えないような設計をされているとご紹介いただきました。

ミューパイルジョガー mini

ミューパイルジョガー
④その他 印刷現場の見学 ※工場内写真撮影不可
富士精版印刷株式会社様のご厚意で、紙積み機の見学だけでなく使用されている印刷機「LITHRONE G37P advance」での印刷工程のご紹介や、工場内で行える断裁・製本加工現場の見学、さらには刷版・オンデマンド・撮影スタジオについてのご説明もしていただきました。
ご来場いただいた方々も印刷現場の方が多く、製造工程に関する質問から品質向上についての質問まで、多くの質疑応答・意見交換が行われました。

LITHRONE G37P advance
⑤グループ企業 物流サービスのご紹介
最後に、富士精版印刷株式会社様のグループ企業である株式会社フジ・サンロジスティクス 代表取締役 立野様より物流サービスについてご紹介いただきました。
12トン強の積載が可能な大型トラックが5台、4トンの積載が可能な中型トラックを7台、2トンの積載が可能なトラックも含めると約20台の豊富な車両数で安心&安定配送を実現しており、北海道から鹿児島まで広いエリアへの対応が可能で、関西を中心とした配送でお困りの際にはご相談いただきたいと語られました。

株式会社フジ・サンロジスティクス 立野様

株式会社フジ・サンロジスティクス 社屋
総括
今回ご来場いただけた皆様、お忙しい中ご来場いただき誠にありがとうございました。
人材確保が難しい印刷現場において、これまで肉体だけでなく教育の面でも大きな負担であった「紙積み作業」を設備導入によって省力化することで、ベテラン作業者の健康を守り新たな人材の確保・定着を目指す1つの手段として、今回の見学会を開催させていただきました。
弊社も、今回導入に活用いただいた「省力化補助金:カタログ注文型」を活用した設備導入をあらためてご提案させていただくとともに、これからの時期に発生しやすい静電気トラブルの解決に有効な「放射式除電装置」をご紹介させていただきました。
お越しいただいた皆様の印刷現場の省力化や、品質向上、最適化に向けたヒントとなりますと幸いです。
ご都合が合わずお越しいただけなかった場合でも、興味のある内容があった際には、詳しいご説明なども承っておりますので、お気軽にモトヤまでご相談ください。